過日、タイ人妻をもつWFCグループ(海外旅行保険を中心とした日本の保険代理店業務)の上田進さんにお話を伺った。上田さんは亡くなったわけではないので、実際にタイ人の奥さんが遺族年金の受給手続きをした経験はないものの、日本年金機構(山口県宇部市の年金事務所)に加給年金(厚生年金に20年加入した場合、妻が65歳未満で年収が850万円未満などの要件を満たせば受け取ることができる家族手当)を申請したことがある。
そのときの体験から、タイにいる遺族(とくにタイ人配偶者)が遺族厚生年金を受け取る場合についてアドバイスをいただいたので以下にまとめた。ただしあくまで山口県宇部市の年金事務所と上田さんの場合に限った例である。
【申請用件】
1)遺族厚生年金を受け取れる日本政府の条件を満たしていること
2)配偶者が、該当する死亡した日本人の戸籍に「妻」として入っていること
3)死亡届を本籍地の市町村役場に提出し除籍していること
4)遺族厚生年金を請求するために除籍謄本を入手
(上田さんからのアドバイス)
「タイ人妻が死亡した日本人夫の本籍地役場へ行って死亡届や除籍謄本の手続きをできるわけがない。生前から自分の二親等以内の親族のだれかと仲良くしておき、自分が亡くなったと妻から連絡があったら、妻から役所へ(大使館経由で、または直接)「死亡届」を送らせるので除籍謄本を取得してくれるよう頼んでおくことが肝心。なぜなら除籍謄本は死亡した本人の二親等(妻、親、子息、兄弟、祖父母、孫)までしか取得できないからです」。
【遺族年金請求のための書類】
1)申請書
2)タイで同居していたという証明
(上田さんからのアドバイス)
「同居していたのがタイの住民票のある住所(身分証明書の住所)ではなく、アパートや借家だった場合、その家主がそこでの住民票の登録を許可しないことがままある。そのため、日本年金機構が求める『同居証明』をタイの市町村役場に依頼できない。そこで無理やりにでも公的な書類にするために、日本の友人から年に数回、妻の住民票の所在地に自分の名前宛に手紙を送ってもらうと、その手紙と妻の住民票の所在地が一致していることで同居していたと年金事務所にみなしてもらえることがある」。
3)将来5年に渡る配偶者の年収が850万円以下という証明
(上田さんからのアドバイス)
「タイでは所得のないことを証明する公的な書類は作成できません。彼女(上田さんの妻)には収入がないことを私の知人に頼んで第三者として証人となってもらいました」。この書類は無事通過し、先の加給保険の受給にこぎつけたそうだ。
今年4月、上田さんはタイ人を配偶者に持つ方のための「遺族年金の会」を発足した。ノウハウを引き継ぐためにも、タイ人と結婚された若い方の参加も呼びかけている。
※年金事務所によっては遺族厚生年金受給手続きに大使館が発給する「転出届済証明」が使われることもある。転出届済証明の詳細は、領事部旅券証明班まで問い合わせのこと。



