ここ1週間ほどアメリカのテクノロジーメディアを騒がせていた話題は、フェイスブックフォン(フェイスブック電話)である。

 一時はSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のフェイスブックが独自のデバイスを開発するという噂まで広まり騒然としたが、実際にはデバイス自体の開発はなし。だが、フェイスブックの機能を中心に据えたスマートフォンが2機も来年発売されることがほぼ確実になっている。

 デバイスを開発しているのは、イギリスのメーカーINQモバイル社。同社はハチソン・ワンポアの100%子会社である。ハチソン・ワンポアと言えば、香港の大物実業家で大富豪の李嘉誠(リー・カシン)が創業したコングロマリットであり、リーはフェイスブックの出資者でもある。

 フェイスブックフォンはアンドロイドOSを利用し、まずヨーロッパで来年2011年前半に、その後アメリカで11年後半に発売される見込みだ。アメリカでの通信キャリアは、AT&Tであると報じられている。

 INQは、じつは昨年もフェイスブック機能を搭載した携帯端末「INQ1」を発売したが、その人気はいまひとつだった。しかしフェイスブックの月間利用者数は現在すでに5億人を超える。フェイスブックと統合された最新のスマートフォンともなれば、可能性も当時とは雲泥の差だ。

 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOはこのスマートフォンの詳細をはっきりと口にしないが、「ソーシャルネットワークは他の機能にちょっと付け加えるような上辺のレイヤーではない」と強調している。ソーシャルネットワークのような人びとのつながり方こそ、これからのコミュニケーションの方法を変えていくと語っている。