消化器系の医師は、不安がるUさんに丁寧に話してくれた。

「例えば大腸の10mm程度のポリープなら、年齢分のパーセンテージは持っていると言われており、年齢とともにリスクは高まります。50歳の方が10人検査を受ければ50%つまり10人に5人はポリープを持っていることになるから確率は2分の1。それを良性か悪性か見極めるためにも、一度大腸内視鏡検査を受けた方がいいですよ。はじめての方は不安かもしれませんが、慣れた医師が行えば、問題ありません」

 Uさんは健康診断でオプションの大腸の内視鏡検査があったことを思い出した。前日から下剤を飲まなければいけないということを億劫に感じて、申し込まなかったことを後悔した。

内視鏡検査でS状結腸に腫瘍を発見
症状に気づくのが遅くなりやすい大腸がん

 Uさんは前日の夜から絶食して内視鏡検査の当日を迎えた。以前大腸の内視鏡検査が辛かったという友人もいたので、「寝たままで、がん検査ができるPET検査にしておけばよかったかなあ」と病院に着くまでも考えていた。

 検査着に着替え検査がはじまったが、やはりS状結腸に腫瘍が見つかった。そのせいで腸は狭くなり、便が出にくかったらしいのだ。Uさんに医師は今後の治療方針を語ってくれた。

「これから、組織検査を含め精密検査をしてゆかなければ、確定的なことは言えませんが、たぶん手術が必要になります。もう少し早く見つかれば、胃や食道の早期がんのように内視鏡で治療する事が可能ですが、この状態では手術による治療になります。そもそも大腸の腫瘍は、症状に気づくのが遅れるために発見が遅れることが多いと思います。これから、PET検査も含めて、手術に向け検査を進めてゆきましょう」

 Uさんは昨夜から何も食べていなかったが、そのことが原因ではなく、父親と同じ病気になったことを会社と家族にどう伝えようかと思い悩み、椅子から立ち上がったときに軽い立ちくらみがしたのだった。