通貨戦争が明暗を分けた米株の割高・日本株の割安

米株は史上最高値圏だが割高

 米国の株式市場は2016年半ば以降、史上最高値を更新する堅調な水準となった。ダウ平均は史上最高値が続き、米国株式市場への安心感が高まっている。その背景には、夏場になって再び米国経済への楽観的意識が再び生じたことがある。

 一方、英国のEU離脱等も含め国際的な金融市場の不安底性からFRBの緩和的スタンスが予想以上に続くとの見方も生じた。すなわち、米国経済回復と金融緩和の「良いとこどり」状況でもある。

 米国を含め世界的に金利低下が続くなか、図表1に示されるように、債券の利回りから株式の配当利回りを引いたイールドスプレッドは低下基調にあり、債券対比で株式の割高感が台頭していないことも高値を支えている。かたや、株価のバリュエーションの指標となる予想PERは18倍を超え、明らかに割高感が生じている。従って、今後の企業決算の状況によっては米国では株価の調整も生じうる。

◆図表1 米国の株式市場の予想PERとイールドスプレッド推移

通貨戦争が明暗を分けた米株の割高・日本株の割安