ミックスゾーンでの選手通訳はボランティアの仕事ボランティアスタフのトレーニングセンター。オフィスビルのワンフロア全ての部屋で様々な研修が行われる

8ヵ国を話すマルチリンガル・新条正恵が、2016年リオ五輪にボランティアとして参加。4年後の東京大会でボランティアでの参加を考えている人たちのために、五輪ボランティアの仕事について現場から日々の様子をレポートする。第3回はトレーニングについて。

マクドナルドの人材研修プログラム
に基づいたトレーニング

 "How do you feel now?"
「今のお気持ちをお聞かせください」

 "I came here for the Gold Medal, and I got that. I am just happy."
「オリンピックには金メダルを取りに来ました。それができて満足です」

 メディアの質問に試合後の選手が足を止めて答える。その時の通訳は、ボランティアたちの仕事だ──。

 リオ入り翌日は半日、通訳サービスのトレーニング。リオに来るまでの前情報の中で最も興味深かった一つが、マクドナルドの人材研修プログラム(通称:マクドナルド大学)が監修したクラス形式トレーニングだった。なにしろ全世界で同じ味を提出するマクドナルドの研修ノウハウが詰まっているのだろうから。

 オリンピックボランティアのトレーニングは、合計3回開催される。オリンピックやパラリンピック全体のことを学ぶ、オリエンテーショントレーニング、実際に自分が働く場所で活動エリアについて学び、協力し合う他チームとの顔合わせをする、ベニュートレーニング、そして自分の業務内容について学ぶ、ジョブスペシフィックトレーニングである(市居愛著『オリンピックになるための本』より)。

 大会が始まるとさまざまなエリアに分かれて業務に就くことになる通訳ボランティアが、4時間で通訳業務について学ぶ。トレーナーはいずれもブラジル人のクラウディアとフェルナンド。研修は国籍豊かな参加者の唯一の共通言語である英語で行われる。