新型コロナウイルス蔓延で、対面での営業が激減している。これを「動画」で補おうと考える企業が増えているが、テレビCMやHPでこれまでアップしてきたような動画をイメージしても、一向に売り上げ増には結びつかないだろう。ここで参考にすべきは、「テレビ局のVTR」。元テレビ局記者が、お客の理解度が格段に上がる動画づくりの秘訣をお伝えする。(アジアピクチャーズエンタテインメントCEO 上野由洋)

「面白い動画」で認知は向上するが
購買には結びつかない

売上激減に悩む営業マンのイメージ
面白い動画でビューを稼げても、バズらせることに成功しても、それだけでは肝心の売り上げ増には結びつかない Photo:PIXTA

 新型コロナウイルスの流行により、人との接触を8割減らすということが叫ばれている。緊急事態宣言が解除されたとしても、すぐに人との接触が元に戻る可能性は低い。現在は新規感染がほとんど発生していないとされる中国でさえも、武漢から北京に入るとき、北京で2週間の隔離が必要とされている。

 約100年前のスペイン風邪の流行時には、日本でも第2波、第3波が発生して多くの人命が失われた。今回のコロナ流行においても、来年前半と見込まれるワクチンの実用化が、一つの節目だといわれている。米モルガン・スタンレーのアナリストは、経済が正常化するのは来年の10月~12月だと予想している。

 一方、各携帯会社は理論上は4Gの100倍の通信速度といわれる5G回線のサービス提供を開始。秋以降に発売が予測される新型iPhoneも5G対応と報じられている。

 この通信回線の高速化により、対面での営業の代わりに、動画制作を開始する企業が急増している。しかし、これまでの「常識」で動画を制作しても、残念ながら売り上げにはつながらないだろう。その理由は動画の「目的」の違いにある。

 新型コロナ発生前に企業が動画制作をする場合、「商品を知ってもらうためのきっかけ」という目的が多かった。15秒~30秒が通常のテレビCMも、「きっかけ動画」の代表格である。かつて、私もテレビ局でCMの枠を販売する仕事をしたことがある。顧客企業は、いかに認知を広げるかということを目的としていた。

 その後、ネット環境が進化するに連れて、企業は自社のプロモーションビデオやイメージ動画を公式サイトに掲載するようになった。これも、テレビCMの延長線上である。時にはCM動画をテレビではなく、YouTubeやSNS、タクシーモニターなどに、広告費を支払って配信するようになった。認知獲得のためには、幅広く動画を配信しなければならないのだ。

 そのため、多額の宣伝費が必要となる。テレビCMの場合は全国ネットで19時~20時に30秒の番組提供CMを配信すると、番組視聴率により変動はするが150万円~400万円/1回が相場だ。

 また、タクシー広告で認知を獲得して有名になったオンライン営業システムのベルフェイスは、交通広告費用として2.5億円を費やしたと、マーケティング担当がメディアに語っている。認知獲得のための動画の役割は「いかに印象に残るか」である。ベルフェイスのタクシーCMはとても面白くできている。ぜひインターネットで検索をしてみてほしい。

 しかし、その先の購買には結びつくのか?一般的には面白いCM動画でサービスが気になってHPを見ても、それだけで購入に至る人は少ないだろう。サービス内容はHPやCMだけではよくわからないので結局、顧客はそのまま立ち去ることが多い。わからないものは買えないからだ。