患者が得られる
医療情報が少なすぎる!

 杉田氏が名医検索サービスを立ち上げた背景には、当時、東京大学医学部附属病院で眼科の医師をしていた杉田氏自身の体験がある。ある日、父親が網膜剥離になってしまう。網膜剥離は最悪の場合、失明の恐れのある病気である。急を要する状況であった杉田氏は、適切な医師を探すのに苦労をしたという。

「勤務医をしていると、友人や知人から良いドクターを知らないか、と尋ねられることが多かったんです。そういった数々の体験から、一般の人が得られる医療情報があまりに少ないと気づき、これはなんとかしなければ、と思いました」

 その後、アメリカのビジネススクールへ留学し、現地で様々な医療事情を学んできた。

「アメリカでは、クリンタルと同じようなサービスがすでに行われており、導入している企業は、従業員の医療費を削減することに成功していました。これを日本で行えば、医療費削減につなげられるかもしれないと思ったのがきっかけです」

 現在、クリンタルの検索数で多いのは、がんや小児科、婦人科関連の疾患だという。ユーザーからは「受診先のあてがなく困っていたが、光が射した」、「今の治療で良いのか自信がなかったので、セカンドオピニオンの目的で利用した」――こんな声が多い。

ドクターの技術向上には
医療の“機能分化”が必要

「このサービスを通じて目指しているのは、実は医療の“機能分化”なのです。例えば、総合病院は便利ですが、何が得意なのか一般人にはわからない。しかし、「がんセンター」とか「循環器センター」といった専門施設ならすぐにわかります。そのように医療機関を専門化していくことで、同じ領域の患者さんが集まります。そうなればドクターも経験を積むことができ、技術が向上していきます。結果として入院期間が短くなり、医療費を抑えることにつながると考えています」と杉田氏は言う。

 医療の“機能分化”を取り入れようとする背景には、日本では患者が得られる情報が少なく、「医療後進国」といわれる現状を打破したいという杉田氏の思いが強くにじみ出ている。

「海外ではこういう“機能分化”が盛んに行われています。一例を挙げると、カナダには鼠径ヘルニアの専門病院があるんです。鼠径ヘルニアは再発率の高い病気ですが、全米から患者さんが集まることでトップレベルの技術を維持することができ、再発も減りました。結果、医療費削減に寄与したのです」(同氏)

 日本の医療費について言えば、2015年度に40兆円を突破した。厚生労働省によると「2020年には66.9兆円、2025年には76.4兆円にまで膨れ上がる」と予測しているようだ。

 今や国家的急務である医療費の削減が高まっている中で、クリンタルの名医検索サービスはその一助となる可能性を秘めている。

 同サイトは、名医以外に地域の信頼できる医師を検索することもできる。軽症や掛かりつけ医のいない方は、このサイトの活用をお勧めしたい。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R)