FXで多額の損失を抱え「マイルド貧困」にFXの取引履歴を見せる高橋さん。1社だけで1900万円以上もの損失が出て、明るい性格の高橋さんも落ち込んでいた Photo by Kaoru Yokoyama

格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第7回は、借金をしてまで投資にのめり込み、1900万円以上も負けている30代の男性を追った。(ライター 横山 薫)

社会人になってすぐに始めた株
2700万円まで増やした成功体験

 IT企業で働く高橋慶介さん(仮名・37歳・既婚)は、親が所有する都内マンションに妻と住む共働き世帯だ。年収は470万円と、中小企業で働く大卒の平均年収程度はもらっている。また、妻も派遣社員として働いている上、家賃がかからないため、むしろ生活には余裕がある。

 にもかかわらず、高橋さん世帯は貯蓄ができず、子どもを産むこともできない。その理由は、高橋さんの「借金体質」と「ギャンブル体質」にある。