そして、技能実習生は修了後、「特定技能1号」に移行できるとされ、政府が国会に示した新たな在留資格による外国人受け入れの人数の積算根拠では、特定技能1号の半数以上が技能実習の修了者であると見込まれている。

 だが今回の新在留資格は、人手不足が顕著な業界からの要請に応えて、まずもって外国人労働者の受け入れ拡大ありきで、創設された感が否めない。

 新在留資格を得られる条件の「相当程度」の知識又は経験とか、「熟練した」技能というものが何を指すのかは、十分、検討されたのではなく、後手後手に整えられていると言わざるを得ない。

 当初、法務省は、技能実習制度と、人手不足に対応するための新制度は全く別ものと位置づけていた。

 だが、「特定技能1号」の半数以上が技能実習の修了者と見込むなど、従前から技能実習制度が、人手不足を賄うための労働者受け入れ制度として活用されていた実態を追認したようなものだ。

 今国会でも、新制度のもとでの労働者の受け入れ人数を議論する中で、技能実習を終えても、そのまま特定技能1号の在留資格で日本で働くのであれば、本国で技術を生かせない。

「途上国への技術移転」という名目を放棄したと言わざるを得ない。

 多くの問題を抱える技能実習制度をこのまま維持して、その上乗せになるような新制度を作ってしまうのか、ということが最大の問題点なのだ。

法務省に制度を任せる危険
ずさんな「失踪」調査報告

 だが、政府は、こうしたことを十分に認識しているとは思えない。

 このことは、法務省が外国人技能実習生の失踪問題でずさんな調査結果を国会に報告したこと一つをとっても、明らかだ。

 法務省が昨年12月までに受け入れ先から「失踪」し、その後、出入国管理・難民認定法違反などの容疑で摘発された実習生に対して行った聞き取り調査では、計2870人の聴取票に、失踪の動機として、低賃金、暴力、強制的に帰国などの問題が多数含まれていた。

 それにもかかわらず、法務省は実習生の「多数」は「より高い賃金を求めて」失踪したと、国会に報告したのである。

 例えば、受け入れ先で最低賃金も受け取れず、一方で日本で技能実習を受ける費用を工面するためにした借金の返済ができないから、やむを得ず、他の仕事先で不法就労を始めた技能実習生は、利益を追求して自発的に離職したのではない。

 これを「より高い賃金を求めて」失踪したと表現するのは、あまりにも事実を歪曲している。