異例の保釈中再逮捕

 特捜事件で、保釈後の被告が再逮捕されるのは確かに異例だ。

 ただし、保釈許可の主な条件は、証拠隠滅、口裏合わせなど、既に起訴された事件に関して今後予定されている公判への支障がないかどうか。起訴された事件以外は“無罪放免”というわけではない。起訴された事件とは別の容疑があり、逃亡、証拠隠滅の恐れなど再逮捕の必要があればあり得る。

 過去には大阪地検特捜部が2007年、談合罪で起訴されて保釈中だった元警察官を、収賄容疑で再逮捕したケースがある。そもそも特捜事件の絶対数が少なく、「異例」な点のニュース性は低かろう。

 では、なぜ「在宅のまま追起訴」(つまり逮捕をせずに、任意の事情聴取で証拠を固めて公判請求)ではなく、逮捕に至ったのか。

 ゴーン被告の弁護人である弘中惇一郎弁護士は保釈決定のあった3月5日、「(今後任意の事情聴取の要請があっても)応じないですね」と発言。この全面対決姿勢に、東京地検特捜部は「全容解明には強制捜査が不可欠だ」と判断したのかもしれない。再逮捕の方針が報道された4月3日夜、弘中弁護士は「内容と条件によっては(ゴーン被告は事情聴取に)応じる」と態度をやや軟化させていたが、“時すでに遅し”だったようだ。

口封じだったのか

 では再逮捕は4月11日にゴーン被告が予定していた会見の“口封じ”だったのか。

 あるいは、否認事件では異例の保釈に対する特捜部の“意趣返し”だったのか。

 今回の逮捕容疑である中東関係の疑惑は、保釈前から報道レベルでは浮上していた。当然、特捜部も保釈前から動いていたはずで、「起訴後勾留中に任意聴取で証拠固め→追起訴」という算段だったに違いない。