PB強化し、HCとして再スタート

カインズマート<br />沼田店を業態転換購買頻度の高い飲料・酒はケース陳列。食品は日配品の扱いをやめて、加工食品に絞ったカインズマート<br />沼田店を業態転換エンドで訴求するPB商品

 カインズ(群馬県/土屋裕雅社長)は9月8日、「カインズマート沼田店」を業態転換し、「カインズホーム沼田店」としてリニューアルオープンさせた。沼田店は1980年にオープンし、2006年4月にカインズマートに業態転換。今回の改装で、再業態転換ということになる。

 カインズマートは、2005年から2006年にかけて、カインズ初期の既存店舗を業態転換したもので、現在埼玉県に4店舗(神川店、寄居店、皆野店、江南店)と群馬県に1店舗(大泉店)を展開している。売場面積は大泉店の498平方メートルから江南店の2500平方メートルまでバラつきがあるが、パンなどの日配食品やグロサリー、加工食品、飲料まで品揃えをした、コンビニエンスストアに近い業態だ。

 沼田店でも「改装前には食品と飲料の売上高構成比が4割近くあった」(同社広報部)という。しかし、道を挟んで同じグループのベイシアが展開する小型店の「ベイシアマート沼田店」があることや、取り扱う商品の似ているコンビニエンスストアやドラッグストアとの競争が増えてきたことから、本来の住関連商品の品揃えを再度強化して、HCとして再スタートを切った。

 沼田店から5キロメートルほど離れて、2000年3月にオープンした「沼田モール店」(売場面積5659平方メートル)があり、今年4月には品揃えと売場配置を見直し、酒の扱いを始めるなどのエリアの基幹店としてリニューアルをしたばかり。沼田店は高齢者の自転車での来店が多い特性から、沼田モール店の衛星店と位置づけ、両店舗の使い分けを意識して、日用品に特化した買いやすい売場をめざした。

 今回の改装では、アイテム数を1万3000SKUから1万8000SKUへと約3割増やした。それに伴い、ゴンドラ本数を1割増やし、高さも150センチメートルから180センチメートルへと高くしている。また、ゴンドラが縦と横で交錯していたが、縦一列に整理し、アイランド陳列もやめることで回遊性を高めようとしている。

 商品を見ると、工具類と農業資材、インテリアを増やした。反対に、自転車と建築資材をカットしている。来店頻度が高いために、入口付近ではシーズン商品を並べるなど、飽きのこない工夫を凝らした。食品の売場では日配品をやめ、菓子やつまみなどの加工食品に絞り、最近注力している飲料と酒ではケース売りを行うなどスペースを確保している。

 売場各所にはプライベートブランド(PB)商品を前面に訴求する。「PBの商品力と価格競争力がついてきたから再度HCに業態転換できた」(同社幹部)というように、カインズマート業態で営業していた4年余りの間に、PBがカインズの最大の強みとして成長してきた。

 今後、残りのカインズマート5店舗を業態転換するかは未定。PBを品揃えの核としたバラエティストアとして動向が注目されるところだが、すでに減価償却の済んだ既存の小型店を有効活用し、小商圏でもPBのシェア拡大を図ろうとする方向性にあるのは間違いないだろう。


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カインズマート<br />沼田店を業態転換

1977年4月20日の「コメリ ホームセンター三条店」オープンから約33年が過ぎ、今年7月には1000店舗体制となったコメリ。ホームセンター参入当初から物流センターを設けるなど独自のチェーンストア理論で、現在は沖縄を除く46都道府県に店舗を展開するHCのナショナルチェーンに成長しました。
コメリの最大の強みは「独自のしくみ」を作り上げてきたことにあります。業態開発や商品戦略、物流システム、店舗オペレーションなどを、辛抱強く、継続して構築してきました。そのしくみの中でも代表格である小型店「ハード&グリーン」には、揺るがない信念のようなものさえ感じます。
今回のコメリ特集では、「独自のしくみ」とはいかなるものか、そして今後の成長戦略をどのように描こうとしているのか、明らかにしたいと考えました。是非ご覧ください。
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