厳しい財政事情を背景に、このところ公的な医療・介護保険は見直しが繰り返されている。そうした制度の変化に着目し、今年は新しいタイプの保障や契約形態の保険商品が続々と発売されている。民間保険の最新トレンドをチェックして、この機会に見直してみてはいかがだろうか。
あなたの保険は今のままで大丈夫?

新商品の発売開始で
「守り」から「攻め」に

和泉昭子 プラチナ・コンシェルジュ 代表 NHKを中心にニュース・経済番組などを担当するキャスターとして活躍後、生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャル・プランナー(CFP®)に。各種メディアや講演、個人相談などを通じ、マネー情報を発信。マネープランとキャリアプランを融合した、総合的なライフプラン構築に定評がある

 このところ新しいタイプの生命保険が続々と発売されている。背景にあるのは今年4月に施行された改正保険法だ。消費者保護の観点から100年ぶりに保険契約についての法律が見直されたのだ。ファイナンシャル・プランナーの和泉昭子氏が解説する。

 「この法改正によって、公布からの2年間、生損保各社はシステム変更や約款の文言見直しなど事務対応に追われていました。それがひと段落し、新商品開発に力を入れられるようになってきたのではないでしょうか」

 足元の契約体制の見直しを迫られ「守り」に徹していた姿勢から、生損保各社は一気に「攻め」に転じたようだ。ただし、リーマンショック以降の金融不安により、保険の予定利率も低下している。貯蓄性を売りにした商品は影を潜め、保障重視の“生きるための保険”がトレンドの中心でこれまでにはなかった新しい保障が注目されている。

医療制度の変容で
多様化するがん保険

 なかでも多様化しているのががん保険だ。従来からあるがん保険は、(1)がんのみを保障、(2)一入院当たりの入院給付金の制限日数がない、(3)がんと診断されたらまとまったお金が支払われる、というのが主な特徴だ。

「以前は、がんは入院が長期化するのが一般的で、入院日数に制限がないのががん保険のメリットとされていました。しかし、医療技術の進歩によって、最近は入院せずに通院で治療するケースも増えています。その場合、入院給付金は受け取れませんから、入院日数無制限というだけではがん保険の魅力は半減しています」(和泉氏)