毎年のように組成されながら、短期間で消費され、陳腐化するビジネス用語は多い。言葉の響きは心地よく、口にするだけで「新しいことをしている」つもりになるものの、実はものごとの表面をなぞっているだけ。対比できるのが、第一印象は泥臭くても実はものごとの真理を突く、経験を血肉とした経営者が発する言葉だ。イオングループ創業者・岡田卓也氏は何を語るのか。

社長就任当初に掲げた「小売業は平和産業である」という理念

 イオングループの創業者として知られる岡田卓也氏は、江戸時代から続く老舗、岡田屋呉服店の7代目として生まれた。呉服屋を改修し、小売業となった岡田屋の社長に就任したのは、昭和21年6月のこと。学徒出陣で戦争を経験した岡田氏は、当初から「小売業は平和業である」という信念を抱いていたという。

お客さんが平和を実感して涙したというチラシ。

 小売業といっても物資は乏しく、下駄ではなく、下駄の鼻緒を7円で売るような商売だった。それでも、配給ではなくやっと自由にものが変える時代になった。平和を実感できたと、ペラペラのチラシを握りしめて涙を流すお客さんもいた。そんな姿を目のあたりにして、小売業はお客さんを原点にした「平和産業」「人間産業」「地域産業」とであると確信し、後に経営理念として掲げることになる。

常に自己変革を促す「大黒柱に車をつけろ」という家訓

 またイオングループの軌跡をたどると、創造と破壊の繰り返しだったことがわかる。

 江戸時代から続く老舗「岡田屋」の名で15年ほど経営を行い、「岡田屋は老齢だ」と感じると、老舗の名を捨て、いくつかの小売業者を合併して「ジャスコ」を設立した。それで終わりではなく、ジャスコ設立から20年後には再び変革の時を迎え、グループ名を「イオングループ」に変更している。成長だけにスポットがあたりがちだが、その間、180もの店舗の閉鎖を行うなど、まさにスクラップアンドビルドの連続だったのだ。

 よく「企業の寿命は30年」といわれるが、岡田氏はそれに共感を示し、「時代の変化に対応するため、企業は過去を捨て、自己変革しなくてはいけない」と語る。思い切った決断の背景にあるのは、岡田屋にずっと伝わる家訓「大黒柱に車をつけよ」である。

 常識的には、大黒柱は「決して動かしてはいけないもの」である。しかしグローバル化、業界再編などの荒波にもまれながら成長してきたイオングループの礎は、この家訓にあると岡田氏は強調する。ここにはどんな意味が込められているのか。明日のビジネスに生かせる、どんなヒントが抽出できるのか。答えは岡田氏のインタビュー動画で確認していただきたい。

 企業の原点を象徴する次なる言葉とは? 海外展開を図る岡田氏の着眼点に、成功のヒントがある。続きは下記の画像をクリック。

 動画提供/株式会社矢動丸プロジェクト