日本では中国の不動産市場の過熱ぶりが伝えられ、よくバブルなのではないか?との懸念が取りざたされます。では、実際の所はどうなのでしょうか? ここでは私が2010年夏に上海に視察に行った時の状況をお話ししたいと思います。

 今回は上海の中心部から車で40~50分程度(地域のランク的には高級でもなければ低級でもない)の130平米ほど(中国のマンション面積表示は、壁なども面積に含めるなどの理由で、日本の面積表示よりも15%ほど広くなっています。日本の面積で言えば、130平米÷1.15=113平米といった感覚)の中古マンションを見てきたのですが、その場所でも、平米3万元程度で取引されているとのことでした。仮に100平米なら、1人民元=13円で計算すると、100(平米)×3万(元/平米)×13(円/元)=3900万円という計算になります。

 もちろん、このマンションは特別なマンションではなく、ごくありふれたマンションで、周辺を見渡せば大量に存在するようなマンションです。ということは、4000万円程度の資産を持つ人がそれだけ中国にいることになりますから、これは凄いことだと感じました。それと同時に、やはり中国の不動産価格は高騰しているという印象を受けます。特に上海と北京は過熱している印象です。

北京・上海は別格、
港区や渋谷区のようなもの

 もっとも、このような、急激な不動産価格の高騰は上海と北京などのごく一部の都市に限ったことです。たとえば大連などでは平米1万元以下のマンションが普通で、これだと100平米でも1300万円ほどです。ですから、上海と北京は、日本で言えば港区や渋谷区のようなものかもしれません。

 実際のところ、上海の年収は中国平均よりも非常に高いのです。中国全体の1人あたりGDPは3000ドルを超えたばかりですが、上海だけに限って言えば1万ドルを既に超えています。上海ですと、大卒の会社員で30才ぐらいであれば、月収20万円程度もらっているのも普通です(もっとも中国では平均という概念が非常に捉えにくくて、一概に言えないのですが、あくまでも参考例として)。したがって共働きで世帯年収400~500万円程度という人も多数存在します。