2010年は、日本の資本市場においても、中国資本の存在が大きくなりつつあることを、目の当たりにした年となった。

 その代表が、7月の山東如意科技集団によるアパレルの名門レナウンの買収である。その3ヵ月前の4月には、比亜迪(BYD)が、金型大手オギハラの館林工場を買収していた。ちなみに、BYDは二次電池(充電式電池)の世界的なメーカーで、最近は電気自動車および同関連技術の開発に力を入れている。

 そればかりではない。「OD05・オムニバスチャイナトリーティー」という名のファンドが、三菱UFJフィナンシャルグループ、NTT、ソニーなどなど日本の超有名大企業三十数社の大株主として登場した。その資金力や恐るべし。実体は不明だが、堂々と「チャイナ」の名を冠した大株主の登場は、株式市場の大きな話題となった。

中国企業の狙いはブランド
ファッションの次は食品に意欲

 では、2011年には、中国企業による日本企業の買収が増え、さらに大型買収もあるのだろうか。

 08年のリーマンショック以降、世界のM&Aが減少するのに合わせて、欧米企業による日本企業の買収が減っている中で、アジア、なかでも中国企業によるM&Aは底堅く推移している。この結果、M&Aの件数に占める中国企業のウエイトが上がっている。

 こうした流れを受けて、日本の証券会社も中国関連のM&Aビジネスに、力を入れている。例えば、09年10月に三井住友フィナンシャルグループ入りした日興コーディアル証券で、クロスボーダーのM&A案件を担当する部隊は総勢18人だが、このうち6人が中国人である。この1年で一挙に5人も増やした。

 M&Aに詳しい専門家によれば、中国企業のニーズにも、変化が現れているという。中国企業のM&Aの狙いは「資源とブランド」。日本には資源がないので、狙いはブランドである。