日本橋から世界に広めていく医療革新
UCサンディエゴ初の国外拠点開設の意義

 こんにちは。鈴木寛です。

日本人は2周遅れ!国際舞台で「顔を売る」ことの重要性

 今回は「グローバル力」についてのお話です。毎週のように私は海外の要人や研究者とお会いしていますが、この2、3年をみても、世界のグローバル化が加速しているのを、痛感しています。もちろん、グローバル化には、チャンスとリスクをもたらします。最近は、リスクのほうが大きいかもしれません。このままだと、日本社会が加速するグローバル化のなかで、取り残されそうだとの危機感が益々つのっています。

 2016年3月にライフサイエンス領域のイノベーションの支援を目的として、ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(以下LINK-J)」という、トランス・パシフィックな(太平洋を股にかけた)産学の人的交流や技術交流のための場や機会を提供するためのプラットフォームとしての団体が誕生し、2016年10月に、設立記念シンポジウムも盛大に開催されました。

 ノーベル賞の山中伸弥先生の基調講演や、米国サンディエゴからも、BIOCOMという800社のライフサイエンスカンパニーの会員を擁するバイオインダストリーのビジネス団体の会長も駆けつけて、世界第二のマーケットである日本の中心である日本橋を拠点するLINK-Jとのコラボレーションを強めていくとの力強いメッセージが発せられました。

 LINK-Jは、日本橋にも拠点があり、私もフェローを務めるカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCサンディエゴ)がオフィスを立ち上げました。UCサンディエゴにとっての初めての国外拠点です。同じフロアには、東大、京大、阪大、東北などもオフィスを構え本格稼働しました。日本橋はライフサイエンス分野におけるグローバルなコミュニケーション・コラボレーションのプラットフォームになろうとしています。

 医療以外にも今年は教育関連でそうした「国際交流」をしていて強く感じるのが、顔の見える個人と個人が、グローバルにネットワークし、コラボレーションをし、共通課題に取り組むという段階になりつつあるということです。

 そういった世界的な潮流に対して、日本は2周くらい遅れていると、改めて感じています。