組織にとって最適な規模とは機能や仕事に必要な情報を最も有効に扱える規模であるダイヤモンド社刊
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「組織が大きくなれば、中身の大部分は外部環境から遠ざかる。そのため生命の維持に不可欠な栄養素を供給すべき内部機関が複雑になる。こうして規模が複雑さを招く」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)

 ドラッカーは、組織には「それ以下では存続できない最小規模の限界」が、産業別・市場別にあるという。逆に、それを超えると、「いかにマネジメントしようとも繁栄を続けられなくなる最大規模の限界」もあるという。

 自らの規模を知らなければならない。その規模が適切か不適切かを知る必要がある。規模の誤りは、体力を消耗する“業病”である。企業にとっては、ありふれた病気である。しかし治療は可能だが、簡単でもなければ楽でもない。

 なぜ不適切なのかは不明でも、不適切なことを知るための診断は容易である。兆候ははっきりしているし、常に同じである。不適切な規模の組織には、肥大化した分野、活動、機能が必ずある。

 情報化社会では、組織の大きさは独立変数ではなく、従属変数である。情報の本質からして、組織として機能しうる範囲内の最小限の規模が最適である。大きいことがよいのは、規模が大きくなければ仕事ができない場合に限られる。

 組織にとって最適の規模とは、組織の機能や仕事に必要な情報を最も有効に扱うことのできる規模である。

「多くの企業が適切な規模を知らない。規模にふさわしい戦略や構造についてはさらに知らない」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)