中国ビジネスの明暗を分けるキーワード、
「性価比」を意識しないと富裕層も動かない

 中国でビジネスを行なう場合に、必ず知っておくべき言葉がある。

 それは「性価比」(xing jia bi)という言葉だ。商品・サービスの「性能、提供価値」が、その「価格」と比べてどうなのか、という意味で使われる。たとえば、比較的価格が安い割には高品質でファッション性があるユニクロやH&Mの商品とか、毎月1日の映画の日に1000円で映画を観ることなどが、「性価比が高い」と言われる。

 性価比が高い方がいいというのは万国共通だが、商品・サービスの購入を決める際に、特に中国人は「性価比」を気にする。ある意味中国人は、大阪のおばちゃんや、お値打ちが大好きな名古屋人に近いと考えてもよいだろう。

 最近中国で増えている中流層はもちろん、富裕層の中国人も「性価比」を考えて商品・サービスを購入する。カネを持っているからといって、何でもかんでも浪費してくれるわけではない。

 「そうは言っても、事業、株・不動産投資などで短期間に富を築いた成金の中国人富裕層は、ガンガンお金を使っているじゃないか」という意見もあるかもしれないが、実はそういう人たちも「性価比」を考えた上で、浪費をしている。成金が浪費することで「面子」を手に入れようとしているのだ。

 部下や知人にご馳走したり、高級車や高級時計を購入するのも、全ては自分の「面子」のためだ。高いカネを払うことになっても、プライスレスの面子が手に入るので「性価比が高い」と思ってカネを出す。

 つまり、他人からは単なる浪費に見えても、本人にとっては「性価比」を考えた合理的な行動なのだ。中国でB2Cビジネスを行なう場合には、このように「性価比」が必ずキーワードになると思ってよい。

 中国でも日本でも、中国人に商品・サービスを買ってもらいたければ、どうやって中国人に「性価比」の高さをアピールできるかを、真剣に考える必要がある。その方法は3つある。