凄いスピードで
変化するメディア環境

 この10年間で日本の情報流通量は500倍以上になったと言われています。

 テレビ、新聞、雑誌といった従来のマスメディアに加え、ネットという情報のプラットフォーム上に様々な新しいタイプのウェブメディアや、ツイッター、ブログ、ユーチューブ、今話題のフェイスブックなどのソーシャルメディアが登場し、企業も自社のウェブサイトを充実させて、メディア環境は、凄いスピードで変化しています。

 またスマートフォン(高機能携帯電話)や米アップルの多機能情報端末「iPad(アイパッド)」といった新しいデバイスも登場し、巷にはモノとともに情報があふれています。企業が消費者に、自社製品、サービスの情報を伝えることは以前とは比べ物にならないほど難しくなり、これまでの広告に依存したマーケティングに替わる新しい手法の開発が求められています。

キシリトールブームを
仕掛け、大成功

 私は大学を出て最初に味の素という日本を代表する食品メーカーに入社し、そこでマーケティングに出会いました。その後外資系の食品素材メーカーに移り、むし歯予防効果のある甘味料「キシリトール」の日本導入に携わりました。今や日本人のほとんどが名前を知っている「キシリトール」ですが、日本で食品としての使用が認可された1997年当時は、この甘味料の名前を知っている人はまずいませんでした。

 キシリトール入りガムは、今では日本におけるガム販売量の約9割を占めているまでになっています。

 私が28歳で創業メンバーとして1992年に立ち上げたダニスコ・ジャパンは、日本ではほとんど一般の消費者には知られていない外資系の素材メーカーです。甘味料や香料などの食品素材を食品メーカーに提供する、本来なら「陰の存在」といった会社で、そのような広告会社でもなくPR会社でもない「陰の存在」であった素材メーカーのわれわれが中心となって、キシリトールブームを仕掛け、大成功を収めました。