申込者数が年々増加している東京マラソン。5回目となる今年は、3万2000人の定員に対し、その約9.6倍となる29万4469人の申込みがあったという。

 ランニング人数が増える一方で指摘され始めているのが、ランナーの知識不足だ。マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した調査によると、ランニングを始めるにあたって専門家からレクチャーやアドバイスを受けた経験のある人は全体の約1割に止まった。

 アンケートは、直近1年間に月に2回以上のランニングをしている18歳以上の男女、423人に実施。対象地域は、関東地区(東京、神奈川、千葉、埼玉)、関西地区(大阪、京都、兵庫、奈良)。調査時期は2011年1月17日~19日。調査はインターネットを通じて行った。

挫折した理由、約4分の1が「ケガ」
30代~50代男性は特に要注意?

 調査によると、ランニングを始める前にレクチャーやアドバイスを受けた経験があると答えた人は全体の13.5%。マラソン大会への大会参加経験があると答えた人だけに絞っても、レクチャーやアドバイスを受けた経験がある人は26.9%だった。

「自己流」で走る人が全体の約9割<br />手軽に始められるランニングの落とし穴

  手軽に始められるイメージの強いランニングだが、それなりの負荷を体にかける運動であることは間違いない。ランニング用ではないシューズで走ったり、運動不足の状態から急に速いスピードでランニングを始めたりするのは危険行為だ。同調査では、「ランニングを挫折してしまった経験のある人」(224人)に、その理由を複数回答で聞いているが、「ケガをした、ケガが悪化した」と答えた人は25.4%にのぼり、「病気をした、病気が悪化した」人も8.5%いた。「走るだけだから簡単」とは考えずに、正しいランニングフォームなどの基礎知識を確認しておくことは必要だろう。

 ちなみに、年代別・性別に見ると、「ケガをした、ケガが悪化した」と答えた割合が高かったのは、男性30代(33.3%)、男性40代(38.5%)、男性50代以上(39.5%)と女性50代以上(39.5%)。これに比べて女性の20代以下、30代は割合が低かったが、逆に「体力的にきつかった」と答えた人の割合が他の層より多く、約4割に上った。

「ストレッチなし」で走る人が約3割も!
長続きさせるために必要な心構え

 アンケートからは、大会参加経験の有無によって、心構えに若干の差があることも明らかになった。

「ランニングのために普段からしていること」を複数回答で聞いたところ、9つの項目すべてで、大会参加経験がある人の実行率が、参加経験のない人を上回った。項目は「ストレッチをする」「筋トレをする」「充分な睡眠をとる」「有酸素運動をする」など。大会参加経験の有無は、普段からの心構えにもつながっているようだ。

 ただ、9つの項目の中で実行率がトップとなった「ストレッチをする」でも、実行している人は全体で69.5%。運動を行うのに不可欠とされているストレッチだけに、この実行率は高いとは言えないのではないだろうか。

 身近なエクササイズであるランニング。長く続けるためにも無理をせず、安全なランニングを心がけたい。

(プレスラボ 小川たまか)