先日、厚生労働省から「平成27年国民健康・栄養調査」が公表された。約3500世帯を対象に調査したもの。

 これによると、過去10年間で糖尿病と脂質異常症が疑われる人の割合は、ほぼ変化がなかった。加齢が発症リスクであることを考えると「健康を気遣う高齢者」が増えたと推測される。

 事実、脳・心疾患の発症リスクである血圧値は10年前より有意に低下。成人男女の平均血圧値は、男性が133.8mmHg、女性127.2mmHgだった。2006年の平均血圧値と比較すると、男性は2.0mmHg、女性は3.3mmHg改善したのだ。

「たったそれだけ」と拍子抜けしそうだが、血圧値を1mmHg下げるには1~2kgの減量か、1日1gの減塩が必須。メタボ対策で生活改善を試みたことがある方なら、努力を想像できるだろう。

 一方、食・運動習慣からは「健康な高齢者」と「不健康な若者」の構図が見えてくる。

「健康日本21(第2次)」では、主食(ご飯やパン)と主菜(肉・魚類)、副菜(野菜・きのこ・海藻類)のバランス良い食事を心がけ、1日に350gの野菜を食べるよう推奨している。

 しかし、1日2回以上「主食・主菜・副菜」を食べている20代は4割未満。野菜の摂取量も目安量の6~7割にとどまった。また、4人に1人が、朝食を「食べない」「錠剤や栄養ドリンクのみ」「お菓子や果物」としているのも気になるところだ。

 一方70歳以上では、男女とも6割が毎日「主食・主菜・副菜」のバランス食を実践。野菜も目安量の9割を食べている。

 運動習慣でも20代男性の8割、女性の9割が「運動しない」のに対し、70代以上の男性2人に1人、女性3人に1人は1日30分以上、週2回以上の運動を実践していた。

 ちなみに、食・運動習慣が目に見えて改善されてくるのは、男女ともに50代からである。

 確かに若い頃は、食習慣や運動習慣に気を配る余裕はない。ただ「You are what you eat.」は真実だ。せめて食習慣だけでも、早め早めに見直していこう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)