未曾有の大災害が東北・関東地方を襲った。着の身着のままで避難せざるを得ず、住居や家財、現金を失い、お金の問題で様々な不安を抱かれている被災者の方も多いと思われる。そうした方々や支援者の方々が今すぐに役立てられるマネーの知識を、独立系ファイナンシャルプランナー集団「生活設計塾クルー」のメンバーが全6回のリレー形式でお伝えする。

住居や家財の被災に対し
国や自治体からの援助は限られている

 東北関東大震災で被災した皆様、そしてご遺族の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 今回の東北関東大震災は、多くの世帯に非常に深刻な被害を及ぼした。幸いにして命が助かった方でも、その多くは生活の基盤である住居を完全に失っている。

 だが、暮らしに不可欠な住居や家財に被害を受けても、国や自治体からのそれに対する給付は極めて限られていることをご存じだろうか。住居を失った世帯等に対する「被災者生活再建支援制度」では、住居が全壊した世帯への基礎支援金が100万円、その後建物を建築すれば加算支援金が200万円で最大300万円、大規模半壊では合計最大250万円まで。大きな被害を受けたとしても、大規模半壊に及ばなければ給付そのものがない。

 つまり、避けようのない災害で生活の基盤を根こそぎ奪われても、自力再建が基本。これが現実なのである。

 そこで、地震や津波、噴火による被害への、ほぼ唯一の補償手段と言えるのが地震保険である。地震保険は、火災保険にセットして契約するもの。法律に基づき作られた官民一体の保険であり、たとえ保険会社が破たんしても、国が保険金の支払いを保証する。

 だが実際に、地震保険はどこまで役に立つのか。