日立建機社長 木川理二郎<br />新興国需要は拡大の一途<br />生産と経営の現地化を進めるPhoto by Toshiaki Usami

──震災の影響は。

 茨城県内にある5ヵ所の生産拠点すべてが影響を受けた。だが、3月28日からすべての拠点で一部生産を再開している。現在の稼働状況は約3割(3月31日時点)だが、4月中旬までに順次、被災前の水準まで復旧する予定だ。ともかくも、グループ全社員が無事だったのは、幸いだった。

──市況の見通しは。

 主力製品である油圧ショベルの世界需要は、2007年度の22万台がピーク。その後の金融危機で15万~16万台に急落した。だが、10年度はおそらく22万台強と、07年度に並ぶ水準になる。

 最大の理由は中国市場の成長にある。すでに世界需要の約半分を占めている。特に内陸部ではかなりの規模のインフラ投資が続いており、今後も大きな成長が期待できる。

 また、北米も昨夏から好転している。道路補修、パイプライン敷設工事などの増加で、レンタル稼働率が上昇しており、回復が見込まれる。

 いずれにせよ、新興国のインフラ投資、資源投資は今後も間違いなく増える。マクロで見れば、建機は成長産業といえる。

──旺盛な中国需要に対し、供給は対応できているのか。

 これまで機会ロスが2年続いた。供給能力を増強しても、需要はさらに上回っている。それゆえ、13年度に予定していた国内外での設備投資を1年前倒しで行う。