ブラでもババシャツでもない新インナー「スロギー」開発物語河野智美・トリンプ・インターナショナル・ジャパン スロギー事業本部プロダクト&マーチャンダイジング部エキスパート Photo by Toshiaki Usami

「この商品はお客さまに育てていただきました。お客さまがどんどん新しい用途を開拓していかれた。私の中では、こんなの初めての経験です」

 こう語るのはトリンプ・インターナショナル・ジャパン スロギー事業本部プロダクト&マーチャンダイジング部エキスパートの河野智美。「この商品」である「スロギー」の開発・デザインを担当している。

着け心地を追求し累計220万枚を売り上げ

 スロギーはノンワイヤのブラジャーで、インナーウエア(下着類)の新ジャンルを切り開いた。2013年3月の発売以来、現在までに220万枚を売り上げた。種類の豊富なブラジャーにあっては、1シリーズで50万枚売れればヒット商品といわれるため、スロギーはまさに大ヒット商品だ。スロギーのコンセプトは、着けているのを忘れてしまうかのようなインナーウエアの新ジャンル。

 そこに至る河野の着眼・発想は次のようなものだった。

「下着のメーカーには、ブラジャーは胸をつくるためのものという文化があります。一方、インナーには汗を吸うとか、いろいろな目的があります。私は着け心地が良くて楽な商品を作れないかと思っていました。インナーに近いブラジャーという新しいカテゴリーをずっと探していたんです」