この3月のわが国の輸出は、前年同期比2.2%減の5兆8660億円となり、16ヵ月ぶりに減少した。特に自動車は27.8%の大幅減、半導体など電子部品も6.9%減少した。早くも東日本大震災の影響が、数字として確認された形だ。

初めはフローが
大きな影響を受ける

 では、今後、短期・中期の日本経済はどうなるのだろうか。

 多くの経済研究所や金融機関が、大震災前に公表していた日本経済見通しを修正している。予想数字にこそ若干の違いはあるものの、今後のシナリオについては大筋で一致している。

 結論から言えば、実質GDP(国内総生産)は、今年の第1四半期(1月~3月)についで、第2四半期(4月~6月)ごろまでマイナス成長に陥り、その後、復興需要が本格化して、第3四半期(7月~9月)以降はプラスに転じる。落ち込みは第2四半期が一番大きい。

 このため、2011年度は4月~6月の落ち込みを、夏以降の復興需要で補うものの、震災前の予想よりも低い成長率になる。逆に、復興需要は11年度だけでなく12年度も続くので、同年度の成長率は、その分上乗せされるというシナリオである。

 震災による被害は、大きく二種類に分けられる。1つが、道路、鉄道、港湾、住宅、工場・生産設備などが破壊されてしまう「ストック」の被害である。