「引きこもり」全国大会で抑圧された人々は何を語ったか?社会的に孤立してきた人たちの間で、横につながって声を発信しようという動きが各地で起きている。関西の「引きこもり」系当事者団体による全国交流会で見えた、課題と希望とは?

 これまで社会的に孤立してきた人たちの間で、横につながって声を発信していこうという動きが各地で起きている。

 しかも、最近の特徴は、ただの居場所的機能を目的にするだけでなく、傷ついた人たち同士が関係性をつくり、社会にいる外部の人たちも巻き込みながら、自分たちの意思で新たな役割や価値観の「かたち」をつくり出そうとしていることだ。これまで押し込められてきた人たちとは思えないような、エネルギーの息吹が感じられる。

 それぞれの悲しみや苦しみを自ら乗り越え、水面上に見え始めた動きが、これからどこに向かおうとしているのか。

 ここ1~2年、主に首都圏を中心に、引きこもってきた当事者たちの自らの意思による活動を紹介してきた。しかし、関西でも「引きこもり」系当事者団体による全国交流会が、2月25~26日、大阪府豊中市で開催され、全国から家族や支援者も含め、延べ300人以上が参加したという。

 そこで、以前も当連載でレポートをお願いしたことがある、兵庫県姫路市の「引きこもり」当事者グループ「NPO法人グローバル・シップス こうべ」代表の森下徹さんに、イベントがどんな様子で行われたのか、そのままの目線でレポートしてもらった。

(以下、森下さんの報告)


延べ300人以上が参加
関西発「引きこもり」全国大会の中身

 昨年、大阪市内で当事者団体2つと「つなぐ。むすぶ。広げる。当事者研究大会#1」を開催した。全国の10団体・個人が、4時間半以上にわたり活動を報告する催しで、100名以上の参加があった。その準備中にNPO法人ウィークタイの泉 翔さんから豊中市と催しをしたいとの連絡があり、計画を進めてきた。

 当日は、まず企画者の泉さんから「傷つきながらも『良きつながり』を信じる人たちのイベントです」という紹介があり、大阪府豊中市の田中副市長からも、「皆さんの声を施策に生かしたい」とのあいさつがあった。

 次に進行の遠藤 龍さんから、どこから来たかの質問があり、近畿が多かったものの、登壇者を含めると全国から集まっていることがわかった。

 そして、3名ほどでグループをつくって「名前と、どこから来たか、どんなことを期待してきたか」を話し合った。

 最初の登壇者は、地元で当事者研究をしている「NPOそーね」の一ノ瀬かおるさん。「生きづらさを大切にして私たちは私たちの言葉を見つけた」という。