「保育園投資」に地主殺到、問題は保育士不足土地オーナーに注目される保育園投資。空室リスクがなく手厚い優遇惜置が魅力だが、保育士確保がボトルネックになりそうだ(写真はイメージです)

 都内の地主たちの間で今、アパート経営や高齢者専用賃貸住宅などに代わってひそかな人気を呼んでいる“土地活用”の方法がある。保育園の建設だ。

 用地のみを社会福祉法人などの保育園の運営主体に貸与するケース、建物を新たに地主が建設して用地ごと貸すケースの二通りがあるが、すでに大手ハウスメーカーなどが地主向けに専門の営業部隊を持ち、営業活動を行っている。都内のある自治体では「保育園用地の市役所への持ち込みが殺到している」(業界関係者)という。

 人気の理由は幾つかある。まず建設面での手厚い補助金制度だ。東京都の場合、保育園の建設費の4分の3は補助金でカバーされ、近隣対策でしばしば求められる防音壁なども同様に補助金でカバーされる。さらに今年度から土地を保育園向けに貸与した場合、固定資産税と都市計画税が5年間減免される。

 加えて、地主が建物の建設を行い、社会福祉法人などの運営団体に貸与する場合、建物の維持管理コストなどは運営団体の負担となる。また、土地の利用用途を定めた都市計画法の用途地域が不問のため、住宅地のみならず、商業地域や工業地域にも建設できる。

 何より地主に魅力的なのは、一度建設すれば、アパート経営よりもかなり良い条件で運用できること。「空室リスクがほぼないため、銀行融資が下りやすいというメリットもある」と、都内で保育園建設を多く手掛ける東京建設コンサルタントの高木隆社長は言う。