WBCベスト4のチーム総年俸を比較、日本は何番目?WBCのベスト4が出そろった。日本は決勝進出を懸けてアメリカと戦う。写真は第1回WBCの決勝の模様

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝進出4ヵ国は日本、アメリカ、プエルトリコ、オランダになった。

 WBCを主催するWBCI(MLBとその選手会が作った会社)やWBCを野球世界一決定戦と認めた国際野球連盟(IBAF)は「理想的な勝ち上がりになった」と喜んでいるに違いない。

北米、中米、アジア、欧州から
各1ヵ国が勝ち上がる理想の!?展開

 まず、地元アメリカが勝ち上がったのは大きい。準決勝進出をかけた対ドミニカ戦の中継を見たのだが、球場を埋めた観客のほとんどがアメリカを熱烈に応援。星条旗を振っている人も少なくなかったし、アメリカがチャンスやピンチの時は「USA!USA!」というコールが起こった。また、選手もその声援に応える好プレーを見せた。7回裏、アメリカのセンター、アダム・ジョーンズがジャンプしてホームランをもぎ取ったシーンでは球場全体が沸きに沸いた。アメリカの野球ファンも大会4回目にして、国の代表同士がプライドをかけて戦う緊迫感ある試合の面白さが解かってきたようだ。

 アメリカと地理的に近く、その影響を受けて野球が盛んになった中米からは、前回準優勝のプエルトリコがベスト4に進出した。これで中米の野球ファンの興味をつなぐことができるし、メジャーの一線級が多い同国が強さを示すことはアメリカの野球ファンにとってもうれしいことだろう。

 アジアからは日本が勝ち上がった。MLBには野茂英雄を皮切りに佐々木主浩、イチロー、松井秀喜らが次々と挑戦し実力を発揮。現在も上原浩治、岩隈久志、ダルビッシュ有、田中将大、前田健太らが活躍しており、WBCも第1回、第2回と連覇した。この実績がリスペクトされると同時に、緻密な戦い方で強さを発揮する日本の野球は世界のファンから驚きの目で見られている。パワーで敵わなくても戦い方次第で勝てることを示しているのだ。国によってさまざまなスタイルがあって、それぞれの持ち味を生かして覇を競う。そんな国際大会ならではの見ごたえを日本は与えているわけだ。

 そしてもうひとつのベスト4枠には前回に続いてヨーロッパ王者のオランダが入った。主力の多くが中米カリブ海に浮かぶオランダ領アンティル(キュラソー島やアルバ島)の出身者だが、バンデンハーク(福岡ソフトバンク所属)のように本国出身者もいる。そんな選手が世界一を争う場でプレーすれば、オランダ本国でも野球に興味を持つ人は増えるだろう。

 WBC開催の目的には世界への野球振興やMLBの国際化(野球マーケットの拡大を含む)がある。本国のアメリカと中米のプエルトリコ、アジアの日本、ヨーロッパのオランダと、大陸が別の国の代表が4強に残る構図はそうした狙いに合致するわけだ。

 大会前は「今回を最後にWBCは終了」という話がまことしやかに語られていたが、観客動員は過去3回を大きく上まわっているというし、国際化の効果も見込まれることから今後も大会は継続されるだろう。