『CRM』をどう提案したのか!

 前回前々回と、営業の現場で求められる発想を見てみました。

・A 相手を目の前にしての会話 → 大きな質問(日米半導体摩擦とか…)には、更に高いトリの視点と天の邪鬼の視点で即座に切り返す
・B みなが集まる会議での発言 → 「要はどういうことか?」には面白い(短い)例え話やキャッチフレーズを事前に準備する
  そして、最難題の「新商品の新規顧客への売り込み」での発想については『あかり安心サービス』を題材に、
「タイミング」「経営ニーズ」で顧客をセグメンテーションする
パブリシティで顧客を惹きつけ流通や社内の壁を崩す

 といった大胆な発想と行動を学びました。

 そしていよいよ、営業編の最終回として、C提案書作り、について考えましょう。

 まずは『CRM』のお話から。

 Customer Relationship Managementの略で、日本語に訳せば「顧客関係性管理」です。なんだかよくわからない概念です。

 私はこのCRMに、アクセンチュアに転職して3年後の99年に出会い、数年間おつき合いすることになりました。

 まだ日本でほとんど知られておらず、それを提案する会社もない状況からのスタートでした。でも『CRM』なるものをコンサルティング商品にし、売り込むために、そこから数年間、営業・マーケティング面でやったことは単純です。

・『CRM』という本を出し、雑誌に記事を書く
・ITや経営系のイベントで講演する
・クライアントを集めてCEO/CIOセミナーを開催する
・提案書を書きまくる

 企業向けのコンサルティング提案とひと言にいっても、規模的にも内容的にもさまざまです。コンペになり、勝ったものもあれば負けたものもあります。かなり高い買い物なので「普通の」提案書では、もちろん通りません。

 お客さんから「良い提案書だった」と言っていただけたとき、そこで共通していたことはなんだったでしょう。