まだ待機児童の問題が深刻化していなかった頃から民間事業者として保育園の運営に乗り出す一方、保育士の派遣サービスにも進出し、現在は医師や看護師、介護職の人材サービスまで手掛けているモード・プランニング・ジャパン。さらなる成長に向けて株式の新規公開を目指している村越秀男代表取締役社長に、同社の歩みや今後の戦略について聞いた。

村越 秀男(むらこし・ひでお)
モード・プランニング・ジャパン 代表取締役

1965年、東京都八王子市生まれ。証券会社勤務を経て、2001年に認可外保育園(現・西東京雲母保育園)を開園。03年、保育と人材の総合支援サービス「kirara support」をスタートさせ、現在に至る。

──ここまで売り上げが順調に拡大しています。今でこそ、人手不足や待機児童問題が取り沙汰されていますが、御社はかねてからそういったことの改善につながるビジネスに取り組んできました。やはり、先見の明があったということでしょうか?

村越 当社はキララサポートというブランド名で、保育サービスと人材サービスを提供しております。前者は直営保育園の運営を中心とし、後者は医師、看護師、保育士、介護職といった医療・福祉分野に特化しているのが大きな特徴です。2001年6月に認可外保育園(現・西東京雲母(きらら)保育園)を開園したのが当社の保育事業の発端ですが、決して順風満帆な道のりを歩んできたわけではありません。実は、04年ころまで保育士の数は余剰傾向にあって、保育園も選び手有利の状況だったのです。

 しかし、以降は子どもを産んでからも働き続ける女性が増え始め、少しずつ需給関係が崩れていきました。そのような状況下で、当社が運営する保育園で発生したのが突発的な保育士の欠員です。急な退職によって2〜3カ月間だけ保育士の数が足りなくなり、慌てて求人広告を打ったのですが、一向に応募がありませんでした。

 なぜなら、求職中の保育士の大半ができるだけ働き続けたいと希望しているのに対し、当社が出した求人は期間限定のものだったからです。結局、保育士を専門とした人材派遣会社に依頼してどうにか欠員を補充したのですが、料金がかなり高額だったことに不満を抱きました。

 当時、保育士に特化した人材派遣を手掛けていたのがその会社だけだったせいかもしれません。その一方で、保育園は自治体から助成金を受けて運営しているので、人手不足は絶対に許されません。だから、当社のように人材確保に困るケースは少なくないはずだと考えました。そこで、保育の現場に精通している当社ができるだけ安いコストで人材派遣サービスを提供しようと思い立ったわけです。