今、国内の会員制リゾートクラブは、より"使うこと"を目的に進化している。身近になってきた会員制リゾートクラブの賢い利用法と選択のコツを、大谷毅・信州大学名誉教授に聞いた。

“遠い親戚”の家で過ごす
家族との時間

大谷 毅
信州大学名誉教授
日本リゾートクラブ協会理事

 観光とリゾートは似て非なるものである。観光が名所旧跡を巡り、旅館などで“上げ膳据え膳”のサービスを受けるのに対し、リゾートは自らの目的と計画に基づき、数日から1週間程度滞在するか、あるいは短い期間でも何度も訪れる場所である。リゾートは、観光に比べてはるかに主体的なのが特徴だ。

 「会員制リゾートクラブでトラブルを招くのは、リゾートに“観光”を求めてしまうからです。本来リゾートとは、別荘の延長であり、日常生活とあまり変わらないもの。あえて言うならば、マルチハビテーション(複数の生活拠点を持つこと)、1カ所定住からの離脱です。そしてリゾートを楽しむためには、そこでの過ごし方を自分で考え、自宅とは違う空気の違いを楽しむ資質が必要です。1人で行くのもいいですが、一定期間、自宅とは違う場所で家族と共に過ごして、心身共にリフレッシュできることが理想です」

 そう説明するのは、大谷毅・信州大学名誉教授だ。

より若い世代向けの
施設が増えている

 かつて会員制リゾートクラブといえば、成功のステータスとして、あるいは投資商品として会員権を“保有する”ことに重きが置かれていた時期があった。だが、本来は“利用する”ことを目的としたものだ。会員権を保有しているだけでは、まさに宝の持ち腐れ。そこで近年は、従来のような高級志向の会員制リゾートクラブがある一方で、より若い世代をターゲットとした、リーズナブルな価格で家族が主体的に“滞在”を楽しめる施設が増えている。

 大谷教授は「会員制リゾートクラブは、長く付き合っていく、いわば“遠い親戚”が1つ増えるようなものです。だから家族の成長に合わせて使える方がいい」と言う。子どもが小さいときはファミリーで、子どもが成長した際は夫婦でゆっくりと、または大人になった子世代だけで、さらには3世代でといったように、家族の成長に合わせて折々に訪れることができる場所であり施設。つまり、リゾートクラブの会員になることは、ある意味で“第二の故郷”を選ぶことでもあるという。