調布の中古車販売会社がなぜアフリカで大成功したのか現在も、アフリカビジネスで成功している日本企業は、ビィ・フォアード以外に存在しない

要約者レビュー

 アフリカで唯一成功している日本企業、それがビィ・フォアードだ。

 創業して10数年しか経っていないこの企業が、なぜアフリカで最も有名な企業のひとつになったのか。その驚異的躍進の秘密がこの『アフリカで超人気の日本企業――アフリカビジネスで急成長!ビィ・フォアードの成功哲学』にある。

 ビィ・フォアードの創業者である山川氏は、20代で中古自動車の買取業を始めて以来、一度も赤字になることなく業績を伸ばしている。ただ、新興国で日本の中古自動車が高く売れることに気がつき、輸出専門企業であるビィ・フォアードを設立した当初は、海外でのビジネスに慣れず、何度も失敗をしたという。

 だが、山川氏はめげなかった。現地の有力者とコネクションを築き、パートナー企業と提携し、現地の雇用を生み出すことで、次第に信用を勝ち得ていった。

 また、アフリカではSNSが日本以上に流行っているため、口コミでの評判がとても重要視される。そこで山川氏は、マラウイの人気サッカーチームを買い、チーム名にビィ・フォアードの名前を入れることで、アフリカ全土にビィ・フォアードのブランドを広げていった。

 現在、ビィ・フォアードは売上500億円にまで成長し、職場に28ヵ国52人の外国人スタッフがいるなど、国際色も豊かになっている。しかし意外にもその社風は日本的だ。「MBAを取得しなくても、会社は経営できる」という山川氏の言葉は、だからこそ説得力にあふれている。日本的なやり方で、世界に立ち向かうための戦術を知りたければ、ぜひ本書を手にとってみてはいかがだろうか。 (谷田部 卓)

本書の要点

(1)アジアよりアフリカの方が今後の人口増加率は高い。今こそアフリカ市場に打って出るべきだ。
(2)日本から離れたアフリカで持続的ビジネスを実現するためには、目先の利益を追わず、現地の雇用を生み出し、信用を勝ち得ることがなによりも重要である。
(3)商売の面白さは、仕込みが当たった時にこそある。野心的な試みこそが、毎日楽しく仕事をする原動力となる。
(4)ビィ・フォアードの強みは、ブランド力、資金回収力、物流網の3つであり、他社にはなかなか真似ができないようになっている。