海外旅行の性病・伝染病感染リスク、専門医に聞く対策※写真はイメージです

大型連休中、海外旅行する人も多いだろう。そこで、注意すべきは感染症だ。近年、海外の渡航先で感染し、国内で発症する輸入感染症にかかるリスクは少なくない。その現状や予防法、対策などを国立国際医療研究センターの忽那賢志医師に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

ラクダで砂漠散策後
発熱したら即隔離

 大型連休から1週間ほど経ったある日、Aさんは発熱と咳で近所のクリニックを受診した。

 医師:お熱は38.5度ですね、下痢はありますか?

 Aさん:はい、あります。

 医師:連休はどこか遠くへお出かけされましたか、海外とか?

 Aさん:ええ、夫婦で中東に旅行しました。ラクダに乗って砂漠を散策するツアーです。素晴らしかったんですがね、まだ疲れがとれません。

 医師:ラクダに乗られたんですか、中東で。それはちょっとやっかいですね。

 Aさん:え、それはどういうことでしょう?

 医師:中東でラクダに乗られた方が発熱して咳もある場合には、インフルエンザなどの他の病気の確定診断がつかなければMERS(マーズ)の疑いありということで、隔離しなければならない決まりになっているんですよ。これから保健所に連絡を入れますので、感染症の隔離ができる病院に入院していただくことになります。