昨秋来、食糧品が大幅に値上がりした。FAO(世界農業機関)によると、食糧価格は本年1月、既往最高値を更新し、その後一進一退だ。値下がりに向かう兆しはない。今年に入って砂糖や油脂は値下がりしたものの、食肉や乳製品、とりわけ穀物価格は逆に一段と上昇した。

農業大国・中国が輸入を増やせば
国際市場で需給が逼迫し値上がりが加速

 さらに月次の動きをみると、5月半ば以降、大豆やコーン、小麦価格がで再び騰勢が強まった。主因は異常気象だ。まず米国ではミシシッピ川が氾濫し、穀倉地帯が直撃された。米農務省調査によると、6月12日時点で、例えば収穫期が近い冬小麦では、昨年同期に比べて作柄が「良い」以上の評価が半減する一方、「悪い」以下の評価が倍増した。

 仔細にみると、昨年同期は「とても良い」が14%、「良い」は52%に上り、「良い」以上が合計66%と3分の2を占めた。それに対して今年は、「とても良い」が8%、「良い」が27%で合計35%にとどまる。一方、悪いと評価する割合をみると、昨年同期は「とても悪い」が2%、「悪い」は7%で合計9%に過ぎなかった。しかし、今年は「とても悪い」が23%、「悪い」は19%で合計すると42%に及ぶ。

 ミシシッピ川の氾濫は播種の遅延にも作用した。例えば今秋に収穫される春小麦について上記同様6月12日時点の状況をみると、植付は88%にとどまり、昨年あるいは過去5年の100%に及ばない。発芽状況も73%に過ぎず、昨年の96%、過去5年の97%に比べ大幅に遅れている。

 異常気象は米国だけではない。英仏など西欧各国でも降水量不足がこのところ深刻化している。とりわけ中国が問題だ。同国は農業大国だからだ。例えば小麦は中国が総生産量の2割を生産し、世界最大である。その中国で、冬小麦が播種された昨秋来、穀倉地帯である揚子江以北の華北平原で、記録的少雨が続いている。