事業承継や相続対策を目的とした不動産投資の際、現物の1棟不動産は、取得に多額の資金が必要となり、メンテナンスに手間がかかるケースも多く、分割も難しい一面がある。そこで注目されるのが「共同出資型不動産」だ。

都心の優良不動産を
1000万円から販売

ソリューション本部
ソリューション事業部
資産運用部 投資運用商品課
山中 啓奨

 共同出資型不動産とは、運用対象となる不動産を複数の投資家で共同所有し、賃貸収入を投資家に分配する資産運用商品だ。賃貸需要が高く、安定的な稼働が見込める不動産に投資することが成功のカギとなる。

 「コスモスイニシアの共同出資型不動産『セレサージュ』は、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区という都心の優良不動産を厳選し、当社が取得して、所有権の共有持分を投資家の皆さまに1口1000万円で販売します」と投資運用商品課の山中啓奨氏は説明する。都心の1棟優良不動産を取得するためには、数十億円の資金が必要になるが、「セレサージュ」なら1000万円から“都心”の不動産を“手軽に”取得できるわけだ。

 不動産の運用スキームは、以下のようになる。投資家は、共有持分を出資して任意組合を組成する。同社は、任意組合の理事長となり、不動産の一括管理・運営を行うため、投資家には手間がかからず、不動産投資が初めてという人にも安心だ。

 資産価値を維持するためには、計画的な修繕が欠かせない。同社は、組合組成後に発生するメンテナンス費用を極力抑えられるように、投資家へ販売する前に修繕工事やバリューアップ工事を実施している。

 また、安定した賃貸運営を実現するために、同社の約30年にわたる不動産サブリース事業のノウハウが発揮される。住宅9300戸超の不動産を管理しており、平均稼働率は約96%という実績も残している(2017年1月時点)。

資産価値が下がりにくく
相続対策にも活用しやすい

 投資家の収益としては、賃料などの収入が、固定資産税などの税金や管理費用といった経費を差し引いて年2回分配される。決算書に当たる財産管理報告書も年1回交付される。10〜15年程度の一定の運用期間後には、同社が約30年の投資用不動産売買仲介のノウハウやネットワークを駆使し、市況を見極め、物件を一括売却する。少子高齢・人口減少社会においても、高い賃貸需要が見込まれる都心5区を中心とすることで、一定期間経過後も有利に売却を進めることを狙っていく算段だ。そして、出資持分の割合に応じて売却代金が分配される。投資家は、保有期間中に受け取る分配金と運用期間終了後の売却代金の両方が得られるというわけだ。

 運用期間中に解約を希望する場合は、理事長の承認を得て売却することが可能だ。「期中売却時には当社が持分を組合内外の他の投資家さまに売却するためのお手伝いをする他、投資家さま自身で購入希望者を探すこともできます」。

投資家は、コスモスイニシアが厳選して取得した不動産の所有権の共有持分を購入する。同社と共に任意組合を組成し、購入口数に応じた賃料などから成る収益の分配を受ける。不動産は、一定期間経過後に一括売却され、出資持分の割合に応じた売却代金が得られる。

 J―REIT(不動産投資信託)と異なり、「セレサージュ」は不動産そのものを所有することになるため、不動産としての税務効果も期待できる。相続税の計算では、不動産は市場価格(取引価格)ではなく、相続税評価額を基準とするため、一般的に市場価格と相続税評価額との乖離が大きい都心の投資用不動産は、圧縮効果が高い。小規模宅地等の減額特例(貸付事業用宅地等)が適用されれば、さらなる圧縮効果が望めるだろう。また「セレサージュ」は、複数口購入して複数の相続人へ1口ずつ分与するなど、分割も容易だ。