「システムに欠陥が多すぎて使えない!」
「開発や保守・運用費用が高すぎる!」
「なぜか社員が協力してくれない……」
「経営者がシステムのことを全然わかってない……」

ホームページ、ECサイト、Webマーケティングシステム、AI、ビッグデータ、IOTなど、ITシステムが企業の経営を左右する時代。……にもかかわらず、ほんの数年前まで、日本のITシステム開発は3分の2が失敗しており、今もなお、システム開発は他のプロジェクトと比べると成功率の低いのが現状です。

そこで、かつてない「発注者のための入門書」として、発売前から注目を集めていた『システムを「外注」するときに読む本』が、本日、発売となった。本連載では、そのエッセンスを大公開。70以上のトラブルプロジェクトを解決に導き、紛争解決率9割を超えた「トラブル解決請負人」が、システム開発プロセスに潜む「地雷」を紹介しながら、成功のポイントを伝えます。

どうすれば、会社が幸せになる「本当に役に立つシステム」が作れるのか?
経営者・CIO・システム担当者・プロジェクトマネージャーの必須知識!

メリットはわかるけど、使いにくいシステム

前回の記事(https://diamond.jp/articles/-/131399)で、システムの開発・導入にあたっては、最初の段階で「業務フロー図」を作成すること。そして、その業務フロー図などの文書には「システム化の目的」を明記し、目的と開発する機能と結びつけながらプロジェクトを進めることで、過不足のないシステム化範囲を決めることができる、ということについて書きました。

ただ、システムというのは、いくら経営陣がトップダウンで「導入すべきだ!」と決定しても、実際に使う人が喜んでくれないことには、なかなか、その効果を生まないものでもあります。

私の知る、ある機械製造メーカーでは、複数ある自社製品の中から生産効率の良い製品(儲けの出やすい製品)に注力するため、社員向けに、自分が製品製造に使った工数を記録させるシステムを導入しました。

でも、社員は、きちんとした数値を入力してくれませんでした。みんな、システムが会社全体のメリットになることは理解しているのですが、なぜか、やってくれないのです。

理由はいくつかありました。

1つは、単純に入力が面倒であること。その会社では、1人が複数の製品の製造に関わっていたため、ある製品だけに費やした時間を、毎日、正確に記録することが難しいのです。

また、その会社では、いわゆる「サービス残業」が横行していて、まじめに業務時間を書き込んでいると、それがすべて明るみになってしまうという理由もありました。「サービス残業自体が悪い」と言うのは簡単ですが、とにかく実体として、社員が「作業時間を記録したくない」ということでした。

このように会社全体としては良いけれども、一人ひとりの社員、管理職、経営者など、個々のユーザーからみると好ましくないから機能しないシステムというものが、確かに存在します。

システムを導入する際には、そうしたボトムアップの意見や思いも十分に理解した上で要件決めや設計を行わないと、莫大な費用を投資しても、結果的に使われない無駄なシステムになってしまうのです。

「こんなダメシステム使えない!」という悲劇を回避する「2つの質問」「え? なんでこんな使えないシステムになったの?」ということはありませんか?

こうしたことにならないためには、どうすればよいのでしょうか?