みずほ、IT新会社設立の狙いは「銀行の減点主義」からの脱却フィンテック関連の新会社を設立する、みずほフィナンシャルグループ。出資比率を15%未満にとどめ、銀行と異なる環境で技術革新を目指す Photo by Takahiro Tanoue

 金融とITの融合を表すフィンテック。2017年、この領域をめぐる銀行間の競争が激しさを増しそうだ。

 大手銀行の中で新たな動きを見せたのが、みずほフィナンシャルグループ(FG)。6月末をめどに、ベンチャー投資会社WiLとIT系合弁会社を設立し、フィンテックのみならず、農業や小売りといった異業種の分野でも先端IT技術を生かして事業化を目指す。

 社長には山田大介・みずほFG常務が就任。「フィンテックの専任なので、退路を断って取り組む」(山田常務)と、鼻息は荒い。

 無論、みずほだけではない。今年に入り、他のメガバンクもフィンテック推進の役員ポストを新設。三井住友FGは太田純副社長が、三菱UFJFGは亀澤宏規常務がその職に就いた。2人とも、次期トップ候補として名前が挙がる実力者で、本気度がうかがえる。

減点主義の打破が課題

 さらに、銀行を取り巻く状況にも追い風が吹いている。フィンテックを推進する上で、足かせとなっていた銀行法が、2年連続で改正されるのだ。

 今年4月に施行された改正法では、銀行や持ち株会社による出資制限が緩和され、フィンテック企業などの買収や出資、新設がしやすくなった。