北京オリンピックで金メダル獲得を目指す野球日本代表・星野仙一監督がピリピリしている。

 理由はいくつかある。そのひとつが、代表メンバー決定の遅れだ。星野監督は3月末に第1次候補77人を選考。ペナントレースでのプレーや体調をチェックしながら、今月20日にはこの中から最終メンバー24人を選ぶ腹づもりだった。ところがその計画は頓挫してしまう。

チーム結成が開幕2週間前
という異常事態

 2006年のワールドベースボールクラシック(WBC)でも昨年末のオリンピック・アジア最終予選でも活躍し、投手の軸として考えていた上原浩治が開幕から絶不調、今も2軍で調整を続けている。アジア最終予選で最も大事な韓国戦に先発し好投した成瀬善久も昨年ほどの調子にはない。野手ではやはりWBCやアジア予選で実績を持つ高橋由伸、里崎智也、多村仁、森野将彦らが相次いで故障してしまった。

 そこでやむなくメンバー決定を北京オリンピック組織委員会のエントリー期限・7月23日まで延期。彼らの復調やケガの回復状況を見たうえで選ばざるを得なくなったのだ。が、それではチーム結成が本番のわずか2週間前になってしまう。モチベーションを高め、チームとしてのまとまりを作るには時間が足りない。たしかに指揮官としては悩ましい事態である。

 試合に臨む環境にも問題が生じた。星野監督は大会中、選手には最良の環境を用意したいと考え、出場決定の2年も前から条件に合うホテルを予約していた。しかし、開幕まで2か月に迫ったこの時期にホテル側から「警備上の問題で使用できない」と言われたのだ。急遽、別のホテルを確保したが、選手が過ごす環境としては未知数。不安は多いはずである。

大手1社のバットが使用不可に。
MLBによる日本イジメ?

 しかし、それ以上に星野監督が怒り、マスコミが注目したのが、国際野球連盟(IBAF)によって日本に伝えられた「バットの使用規定」だ。大会で使用可能なバットのメーカーが指定されており、メジャーリーグ(MLB)で使用されているメーカーはすべて許可されていたのに対し、日本プロ野球で使われているメーカー1社が除外されていたのである。