“ホンダらしさ”は復活するか?「2030年ビジョン」攻めの中身Photo:HONDA

「本当におめでとう。大変、感動した!ありがとう!」

 13日、インディ500で優勝、凱旋帰国した佐藤琢磨選手の記者会見がホンダ青山本社で行われ、八郷隆弘社長はその喜びをこう表現した。

 世界三大レースの1つに数えられる「インディ500」(正式名:インディアナポリス500マイルレース)は1911年から行われている米国最大のモータースポーツイベントだ。毎年、欧米人が優勝する中、今回、ホンダのレーシングスクール出身の佐藤琢磨選手が日本人初優勝という快挙を成し遂げたのである。
 
 ホンダは2008年のリーマンショックでF1から撤退した時、経営悪化の話が流れたが、もう一つの撤退要因は技術開発の魅力が失われたことにあるようだ。その後、2015年に7年ぶりにF1復帰するが、なかなか勝てない状況が続いていた。そんな中、佐藤選手が8年目の挑戦で「インディ500」に優勝したことはホンダにとって望外の喜びだったのだ。それが八郷社長の言葉に端的に現れている。

 この会見に先立つ6月8日に、八郷社長は社長就任した2014年6月からを振り返り、「2年間の取り組み成果と今後の方向性」を披瀝している。その中でホンダ「2030年ビジョンステートメント」を明らかにするとともに、2030年までに四輪車のグローバル販売台数の3分の2を電動化することと、2025年頃をめどに、SAE(米国自動車技術者協会)が定める「レベル4」の高度な自動運転の実現を目指す方針を宣言した。

“ホンダらしさ”は復活するか?「2030年ビジョン」攻めの中身