自動車産業のR&D費用が上昇の一途を辿っているのはなぜかトヨタ燃料電池技術を搭載した大型商用車の可能性を検証する実験を今夏からカリフォル ニア州ロサンゼルスで開始する MIRAIのFCスタック2基を使ったシステムである Photo:TOYOTA

自動車のR&D費が過去最高に
気になるその使い道とは?

 国内自動車メーカー7社が発表した2017年度(17年4月~18年3月)の研究開発(R&D)費見通しは合計2兆8500億円で過去最高額となった。これは各社が昨年度決算発表の中で今年度予測項目のひとつとして発表した数字がベースで、場合によっては増額される可能性がある。いま世界の自動車産業界は、いっそう厳しくなる排出ガス規制、CO2排出規制に加えコネクテッドカー(クルマとインターネットの接続によるクルマの情報化)と自動運転関連の開発が必須という状況にある。通常の新型車開発に加え、次世代製品に投入する新技術もおろそかにできない。R&D費は上昇の一途である。

 一般的に、製造業でのR&D費は売上高と営業利益(本業での利益)に連動する。自動車メーカーの場合、かつては売上高の約5%がR&D費の相場だったが、2010年代に入ってこの比率は徐々に上昇している。16年度決算のときに国内7社が発表したR&D費の合計は2兆8020億円だったが、今年度は約1.7%の増額である。R&D費用がトップのトヨタは、前年度比1%増の約1兆500億円でほぼ前年並み。日産自動車も前年と同等水準の約5600億円を予定しているが、ホンダ、スズキ、マツダ、スバルの4社は過去最高となるもよう。