世間では、近年、相手に対して自分から恋愛の意思を告げることができる積極的な性格を「肉食系」、反対に恋愛に対して受動的な性格を「草食系」と呼ぶようだ。

 わが国の若い男女にあっては、自分を草食系と認識する男女がそれぞれ約75%ほどいるようで、これに対して結婚相手に対しては肉食系を望む比率がそこそこに高いため、需給的には男女とも肉食系が有利だという結論が成り立つ(ライフネット生命保険ホームページ掲載の調査結果より)。

 金融ビジネスにあっても、わが国の金融機関には「草食系」の金融マンが多いように思う。彼らは、主として会社のために働く。自分の収入を極大化することに対して、外資系の金融マンほど貪欲ではないように見える。

 バブルとは、長期的に維持できないほど高い資産価格の形成であり、結婚は恋愛におけるバブルのようなものかもしれない。バブルがつくられるためには、レバレッジの利用を伴うリスクテークを他人のおカネでやらせるようにけしかける役割が必要で、金融マンがこれを務める。

 この際、自分の高額報酬をモチベーションにして、顧客にリスクを取らせる肉食系金融マンのほうがバブルの形成が明らかに早い(「顧客」だけでなく、投資銀行の資本金までが「カモ」だったが)。

 サブプライム問題にあっては、証券化商品の組成担当者も、ヘッジファンドの運用者も、投資銀行の経営者も、果ては格付け会社のアナリストまでが、バブルの形成を後押ししたが、この際、彼らの直接的なモチベーションは、ボーナスやストック・オプションによる自分の報酬であったように見える。基本的に皆肉食系だ。本欄で何度も指摘したように成功報酬は、顧客の資金に大きなリスクを取らせるほど価値が高まるオプションなので、彼らは、それぞれの持ち場でリスク拡大に励んだ。