地元紙の調査で約94%の驚異的な県民支持率を叩き出した東国原知事が就任2年目を迎えた。「宮崎のトップセールスマン」が次に売り込みを狙うものは? 当人を直撃した。

F.Tsuto
東国原英夫
東国原英夫:1957年、宮崎県都城市生まれ。専修大学経済学部卒業。ビートたけしの弟子となり、そのまんま東の芸名で活躍。98年に不祥事で自主謹慎。早稲田大学第二文学部卒業、同大政経学部中退。07年1月、官製談合事件に端を発する出直し知事選挙に当選。当選後、地鶏マンゴーなどをPRし宮崎ブームを演出。趣味はマラソン。

──この1年間で宮崎県の経済はどう変わったか。

 マンゴーや地鶏の加工製品など県産品の一部は販売が伸びている。減少の一途をたどっていた観光客も、今年度は増加に転じる見込みだ。ただし魚や木材などはまだ動きがない。木材はロシアで輸出関税が引き上げられたので、国内産に焦点が当たると期待している。

──マニュフェスト(政権公約)には新規立地企業100社、1万人の雇用創出を掲げたが、景気の先行きは不透明感が増しており、むずかしい課題ではないか。

 確かに高いハードルだが、私自身が全国の経営者セミナーなどに顔を出して名刺を配り、トップセールスをしているし、県としてはスタッフを増員して企業誘致セミナーの開催に注力している。地道に足で稼ぐしかない。

 温暖で自然環境に恵まれた宮崎は、ITや新エネルギーなど未来的な産業に向いている。また、九州北部にはトヨタや日産が工場の新設を進めており、自動車関連産業も集積している。それらを誘致して、製造業の底上げをしたい。

──しかし、宮崎は交通インフラの整備が遅れている。

 だから高速道路は必要、少なくとも宮崎には不可欠だ。隣の大分県は、4年間で約90社を誘致し、有効求人倍率を1.08にまで引き上げた。キヤノンの大規模工場があるとはいえ、宮崎県の0.62(07年12月)との差は大きすぎる。

 九州の北部地域と高速道路で結ばれていない宮崎には、自動車関連産業がまったくおりてこない。だからこそ、道路特定財源の確保と暫定税率の維持を主張している。ガソリンを値下げしろ、道路は造るなという日本中の敵を相手に戦う。ボロボロになってこの身果てるとも、宮崎が、地方が発展すればいい。

──就任2年目の重点分野は。

 まず山を荒廃から守る。自然災害防止、地球環境や国土保全の観点から中山間地域の未植栽地をゼロにする。

 土木建設業者の異業種への転換もすすめたい。就任1年目は入札制度改革を断行し、日本最悪といわれていた平均96%の落札率(予定価格に対する落札価格の比率)を77~78%にまで下げた。しかし、下がりすぎて、これでは利益が出ない。その後微調整をさせてもらって、現在は80~85%に納まっている。

 これなら業者は適正利益を確保できるが、宮崎一県で5000~6000の業者数は多すぎる。1割ぐらいの淘汰が必要だが、“リング外”に出ざるを得なくなった業者のフォローをしていかなければならない。

(構成・高橋由美)

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