脳梗塞で血管内に詰まった「血の塊(血栓)」を物理的に回収する血管内治療用の機器が、昨年10月から保険診療で使えるようになった。

 現在、超急性期、つまり発症直後~3時間以内の脳梗塞については、薬物を点滴して血栓を溶かす「t‐PA静脈療法(以下t‐PA)」が治療の第1選択として定着している。ポイントは「発症3時間以内」。それを過ぎると、病変の周囲にダメージが拡がり「薬で血栓のダムが決壊したときの衝撃に耐えられず、出血を起こす」(脳神経外科医)可能性が強まる。

 しかし実際に発症3時間以内、検査時間のロスを計算に入れると発症1~2時間のうちに専門病院へ搬送される強運の持ち主は数パーセント足らず。また、重度の高血圧や糖尿病などの持病や条件によっては最初からt‐PAは使えない。