公営競馬のダート砂で圧倒的なシェアを持ち、全国数百カ所のゴルフ場への納入実績を持つルナサンド。青森産のプレミアムサンドを使った国内産の"抗菌砂"を開発、強力なロジスティクスによる"届ける力"をベースに、今年9月から本格販売をスタートする。

船橋工場ではロータリーキルンバーナーを利用し、高温で加熱処理をする

 ルナサンドの主要な採掘現場は青森県六ヶ所村にある。東京ドーム5個分(約23万平方メートル)の広さがあり、砂地の高みに立つと作業に従事する重機が小さな玩具に見えるほど。もともと海底が隆起した土地で、ここで採取される砂は海水で角が丸く削れ、何万年もかけて地中の浸透水で洗われているため、塩分を含まない良質な“商材”となる。これが社名にもなっているプレミアムブランドの「ルナサンド(青森砂)」である。

 同社では今、このプレミアムサンドを使った"抗菌砂"の開発を行っている。

青森砂にさまざまな
付加価値を付けて販売

ルナサンド
原田路子 代表取締役

 「私たちが目指しているのは、青森砂にさまざまな付加価値を付けること。今開発しているのは、プレミアムサンドを焼いて薬剤をコーティングした品質の良い“抗菌砂”です。ターゲットとなるのは、例えば教育現場。今全国の砂場は、衛生面が問題視され、親たちが子どもを砂場で遊ばせないということを聞きます。しかし砂遊びは、手や道具の使い方を学び、創造性を養い、砂山を作ったり道具を貸し借りする中で、コミュニケーション力を培っていく貴重な場であるといわれています。その砂場の“復権”に貢献するため、国内産"抗菌砂"の普及を図りたいと考えているのです」と語るのはルナサンドの原田路子社長だ。

 すでに薬剤メーカーと共同で開発を行い、2年に及ぶ抗菌効果のエビデンスを獲得、試作品をリリースしている。現在同社の船橋工場では、ゴルフ場向けに種子などの有機物を取り除く“焼砂”の製造が行われており、この“焼砂”に薬剤をコーティングさせることで、品質の良い“抗菌砂”を量産することを計画している。