●極意その4●賃料下落や金利上昇、空室のリスクを考える

 「少子化により、今後の住宅需要は全体として小さくなる。一部の超人気物件は別にして、賃料は確実に下落傾向です」と財営コンサルティング代表の山崎隆さん。首都圏でも人気エリアの需要は衰えないものの、大幅に賃料が下落している地域もある。

 一方、金利は低水準が続いているが、景気が回復すれば、すぐにも上昇に転じると予想される。プランニングに当たっては、賃料下落や金利上昇、空室といった事態にも対応できる計画づくりが求められる。

 「今ある土地では収益が見込めないなら、資産組み換えが有力な選択肢」(山崎さん)。住宅需要の根強い首都圏や大都市圏の物件に買い替えて収益を追求する手もある。不動産を有望収益源にするには、柔軟な発想が必要だ。
 

●極意その5●住んでみたい、貸せる、売れる物件を持つ

 「そもそも不動産保有・購入の目的は、『自分で住む』『他人に貸す』『他人に売る』の3つ。つまり、不動産の使い方としては、この3つしか考えられない」と語るのは山崎さんだ。

 マイホームであっても、投資用の賃貸物件であっても、これらの使い方ができる物件を購入することが重要だ。そのためには、マイホームでも人に貸すことができるか、賃貸物件であっても、自分が住みたいと思えるかという視点で吟味したい。

 また、イザという時には転売して換金できることも大切である。他人に高く売れるのは、高い収益力のある物件に限られる。

 結局のところ、賃貸物件として高い収益を見込めるものが、よい不動産と言える。物件購入に当たっては、賃貸物件として経営が成り立つかどうかを厳密にチェックすれば、まず間違いのない買い物になるだろう。そうした選択眼を持ってこそ、不動産投資での成功を手にできる。


(取材・文/米田真理子)


ダイヤモンド・ザイ2011年9月号に掲載。特集は「買いの電力株5&高配当株20」。そのほか「読者20人の毎月分配型ファンドの損得をメッタ斬り!」「新興国株&資源の買い方・売り方」なども掲載。特別付録は全1033銘柄を完全掲載した「株主優待大カタログ2011」。