日銀に新審議委員2人就任、「正常化」への柔軟な対応に期待日本銀行の審議委員に就任した、元三菱東京U F J 銀行副頭取の鈴木人司氏(左)と、元三菱UFJリサーチ&コンサルティング上席主任研究員の片岡剛士氏 Photo:REUTERS/アフロ

 7月24日、元三菱東京UFJ銀行副頭取の鈴木人司氏と、元三菱UFJリサーチ&コンサルティング上席主任研究員の片岡剛士氏が日本銀行政策委員会の審議委員に就任した。

 鈴木委員にはマイナス金利政策に反対してほしいと思っている金融業界の関係者は多いが、鈴木氏は「業界の代表ではなく、国民の代表として判断する」と述べた。

 これは適切なアプローチだと思われる。最初から反対票を投じると、政策委員会内「野党」となり、黒田東彦・日銀総裁は聞く耳を持たなくなるだろう。黒田総裁は、少数意見は取り込まずに切り捨てる議事運営を進めてきたからだ。

 一方、片岡氏は以前からリフレ派のエコノミスト。就任記者会見では鈴木氏と同様に、現在の日銀の金融政策を支持する態度を表明した。当面の間、投票では9人の全会一致が続きそうだ。

 7月20日、日銀は「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を発表。その中で、2%のインフレ目標の達成時期を2018年度ごろから19年度ごろに先送りした。過去の例よりも先送りを早めに決断したこと自体は適切といえるが、19年度といえば、日銀が異次元金融緩和策を始めた13年4月から6年後になる。

 当初、黒田総裁や岩田規久男副総裁は、インフレ目標を2年で達成すると明確に約束しつつ、大胆なアクションを行うことが重要だと盛んに主張していた。就任前に、2年で達成できなければ辞任すると衆議院で明言した岩田副総裁がなぜ辞めないのか、不思議に思う市場関係者は非常に多い。