前回の連載(第4回 保有資産の値動きの9割がこれで決まる!? アセットアロケーション(資産配分)を簡単に計算する)の内容が、とても重要だったので簡単に振り返ります。

 アセットアロケーション(資産配分)で保有資産の値動きがほとんどが決まってしまうこと、自分のリスク許容度(耐えられる最大損失金額)の範囲内でアセットアロケーションを作ること、そして、保有資産の期待リターンとリスクを自動計算してくれる超便利ツール(しかも無料!)を使った、株式クラスのおすすめアロケーション2つについて、お話ししました。

値動きの派手な株式に目が行きがちだが
実は重要だった日本債券の組み入れ比率

 さて、今回はアセットアロケーションの決定の「肝」をお話したいと思います。それは、ズバリ「日本債券」です。

 「なんだ、肝とか言う割には地味だな…」とお思いになるかたもいらっしゃるかもしれません。なぜなら、債券は株式に比べると期待リターンが低く、特に日本では長期間にわたって低金利が続いているからです。

 インデックス投資ブログでも、議論が華やかなのは主に株式クラスの中身についてです。例えば、世界の株式時価総額比率(世界市場ポートフォリオ)がよいとか、それより世界のGDP比率がよいとか、いや将来の新興国の成長を織り込んで新興国株式中心がよいとか、喧々諤々の議論が行なわれています。もちろん、それはそれで有意義なことではあります。

 しかしながら、投資が趣味でも仕事でもない普通の個人投資家にとっては、株式クラスの中身を細かく検討することよりも、日本債券をどの程度組み込むかを検討することの方が、実は、はるかに影響が大きいのです。

株と債券を組み合わせると分散効果を発揮して
効率的にリスクを低減できる

 前述のように、自分のリスク許容度(耐えられる最大損失金額)の範囲内に、アセットアロケーションのリスクを抑えることが大切です。株式クラスと債券クラスという値動きが違うアセットクラスを組み合わせることによって分散効果が働き、あまり期待リターンを下げずにリスクを効率的に下げることができます。

 それでは、具体的に見てみましょう。

 ひとつの例として、株式クラスを世界市場ポートフォリオ(日本株式:先進国株式:新興国株式=1:7:2)に固定し、日本債券クラスの組み入れ比率を10%ずつ変えて、期待リターンとリスク(標準偏差)がどう変わっていくかを表したのが次のページの表です。(計算は「ファンドの海」さんの無料アセットアロケーション計算ツール「長期投資予想/アセットアロケーション分析」を使っています)