79歳にして初の単著『カヨ子ばあちゃん73の言葉』を刊行した「脳科学おばあちゃん」こと久保田カヨ子氏が、「イクメン」読者の育児の悩みに答える4回連載の最終回。
最終回は、「だっことおんぶ、どっちがいいの?」から、「どうしたらどんな災難があってもくじけない“生き抜く子”に育つか?」まで聞いてみた。対するカヨ子ばあちゃんのアドバイスは…?
(聞き手/35歳男性A:0歳7か月の子どもあり&妻は専業主婦、構成/阿蘭ヒサコ、撮影/堀内慎祐)

被災地で見た“母子相伝”の知恵

 カヨ子先生は、今回の大震災でいろいろ考えられたとお聞きしました。

カヨ子 そうです。あのとき、テレビを見ていたら、お母さんとお父さんがそれぞれ子どもをおんぶして、避難所の給水所に並んでるシーンが映ったのね。
  赤ちゃんは、シーツかなんかを裂いてつくったようなものをおんぶヒモにして、上手におんぶされてました。布切れ1枚でもおんぶができるという、昔ながらの知恵がまだ生きとるんやなって思いました。
  雪がちらつくなか、親の背中で口開けて寝てる子を見てね、母子相伝の子育ての知恵を絶やしたらいかんなぁって思ったんです。
  それで、私も齢79歳の身ではあるけど、まだまだ声を出して発信していこう、と改めて思ったわけです。

 そうだったんですか。確かに、おんぶだと両手が使えるからラクですもんね。

なぜ、“だっこ”より“おんぶ”なの?

【最終回】<br />「賢い子は“おんぶ”で育つんや」<br />“生き抜く子”は、3歳までに決まる!?

カヨ子 そう。それだけじゃなくて、おんぶだと赤ちゃんがお母さんの動きに合わせて、視線を上下左右に動かし、いろんなものを見たりできるでしょ。
  また、お母さんと同じ方向に体を動かせるわけで、お母さんが歩けば、お母さんのお尻の動きが直接赤ちゃんの足に伝わり、歩く方法を身につけやすいわけです。つまり、だっこに比べて赤ちゃんに与える情報量が全然違うんです。おんぶのほうが断然多い。だから私は、おんぶをすすめてるんですよ。

 なるほど。しかし、今回の大震災では、多くの小さな命が失われました。私もひとりの親としてやり切れない思いでいっぱいです。