仮想通貨の暗号が解読され安全性が脅かされるリスクがある

「量子コンピュータ耐性を持つブロックチェーン」を開発しているスタートアップ企業IOTAが、資金調達(ICO)を行ない、そのトークン(仮想通貨)の価格が取引所上場後に500倍になった、と前回コラム「仮想通貨を用いた新しい資金調達法が爆発的に拡大」で書いた。

 そのトークンを買う価値があるのだろうか? 価格が500倍にもなったのは、単なるバブルか?

 これを判断するには、「量子コンピュータ耐性」の意味を理解する必要がある。

 というのは、量子コンピュータが実用化されれば、インターネット上の取引で用いられている暗号が解読され、仮想通貨の取引記録が改ざんされる恐れもあるからだ。

 これは、コンピュータサイエンスの最先端の問題で、これまでであれば、ごく一部の専門家が知っていればよいことだった。しかしICOに投資をするのなら、少なくとも、その意味の概略を知っている必要がある。投資家でなくとも、インターネット経済の基本に関することなので、多くの人が知っていることが望ましい。

「公開鍵」と「秘密鍵」で構成される
公開鍵暗号とは何か

 インターネット上では、「公開鍵暗号」という暗号が用いられている。

 これは、「公開鍵」と「秘密鍵」で構成される。どちらも、数字と記号の組み合わせである。