スマートフォンの登場でますますライフログへの関心が高まるなか、自分の人生をより良くするための「人生記録法」について、日本一Evernoteに詳しい大人気ブログを主宰する五藤隆介氏が、5日間連続で初心者でもわかるように解説する。最終回は、ライフログを始めると必ず訪れる「活用」と「継続」の壁について。五藤氏が実践する、記録の振り返り法と楽しく続けるためのコツを伝授する。

記録は振り返ることで価値が出る

 ライフログを残してみたけど、なんの役に立つかわからないからやめた、という話を聞くことがしばしばあります。何でもかんでもメモして、何でもかんでも記録をして、果たしてそれがなんの役に立つのか、と。

「ライフログ」というなんだか特別な言葉がついているために、ついつい忘れがちになってしまいますが、ライフログというのはあくまで記録であり、メモです。そして、記録、メモといったものは「見返して」「活用して」はじめて役に立つものです。

 記録すること自体に日常の視点を広げるという価値は確かにありますが、記録が役に立つのは、記録をきちんと見直したときです。

 では、実際に「ライフログ」はどのように見返したり、活用すればいいのでしょうか。

 まず最初に習慣にしたいのが、一日一回、毎日自分の記録を振り返る時間を作ることです。一日10分も使えば十分です。寝る前などの好きなタイミングで「今日の記録」を一通り眺めてみるといいでしょう。

 無理してすべての記録に目を通す必要はありません。まずは、記録したものを見返す習慣を身につけることが大切です。そして、この一日の記録を見返すと、いつも感じるのが、まだ24時間もたっていないのに、すでに忘れかけていることが多数あるのです。

 さすがに全然覚えていないわけではありませんが「あ、今日こんなことがあった」なんてことを思い出しながら、記憶が薄れていることを実感します。これだけでも一日の出来事が自分の中で整理されていきます。

 そして、毎日記録を見返すついでにもう一つ習慣にしたいのが、「毎週見返す」ことです。24時間たっていない出来事ですら忘れかけているのですから、一週間前のことというのはすでにほとんど忘れている出来事ばかりです。

 そして、一週間もたてば嫌なこと、腹を立てたような出来事も当時とは違う冷静な感情で見返すことができ、すでに笑い話にできるようになっているかもしれません。

 毎日、毎週、記録を見返すということは面倒に感じられるかもしれません。しかし、実はこれはまったく逆なのです。見返すことを習慣にするからこそ、記録が続けられるのです。

 振り返ることもなくただひたすらに「記録」を続けていると、ある時ふと「何のために記録しているのか」という疑問がわき起こります。これは、記録することが「目的」になってしまっているからです。

 自分がやったこと、やりたいこと。自分が感じたことやできるようになったこと。

 こういったものは「記憶」に頼るといつまでも曖昧なままで、ついつい「なんとなく」で済ませてしまうようなことばかりです。

 この連載の第1回に、「ライフログは人生の再体験」と書きました。記録を見返すという「再体験」によって記憶が整理、強化されるだけではなく、自分自身を再度客観的に見つめ直すことで、成長を実感すると共に、自分自身の改善点を見つけていくことができるのです。

 記憶を「再体験」するときというのは、必ず当時の自分とは「違った視点」で過去の自分を見つめ直すことになります。この視点さえあれば、記録を見返す時には「自然に」自身の成長や改善点を見つけ出すことが可能です。

 記録を続けるために記録を見返す。記録を続けることが面倒に感じたときほど、自分の記録を見返すことが継続へのモチベーションにつながっていきます。